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ボリス vs EU
早くも対立が鮮明化

 テリーザ・メイ英首相の辞任に伴う保守党党首選によって、ボリス・ジョンソン氏(以下、「ボリス」)が新しい党首に選出された。これを受けて、エリザベス女王はバッキンガム宮殿にボリスを呼び、新首相に任命した。

 ボリスは、首相官邸前で就任演説を行い、「何が何でも10月末に欧州連合(EU)を離脱する」と改めて表明した。早速組閣に入り、「合意なき離脱」に備えた準備を進めてきたステファン・バークレイEU離脱担当相を留任させた以外は、財務相にサジド・ジャビド内相を、外相にはドミニク・ラーブ前EU離脱担当相を起用するなど、主要ポストを軒並み入れ替えた。「強硬離脱派」が閣僚の過半数を占めることになり、「合意なき離脱」は、ますます現実味を帯びてきた。

 ボリスは、昨年11月にメイ前首相がEUとまとめた離脱協定案を、「われわれの経済的独立を手放す」ものと批判し、受け入れられないと主張してきた。初の議会演説では、EUに対して離脱協定の再交渉を要求し、「さもなければ、われわれはもちろん、合意なしでEUを離脱しなければならない」と警告した。

 しかし、ジャンクロード・ユンケル欧州委員長は、ボリスとの電話会談で、EUは各加盟国の首脳から再交渉の権限を与えられていないと冷ややかに伝えた。また、EU側の首席交渉官であるミシェル・バルニエ氏は、ボリスの要求は、「合意なき離脱」の恐れを高めることで、EUを分断しようとするものだと厳しく批判した。

 早くも、ボリスとEUの対立が鮮明となった。だが、激しい対立は双方にとって想定の範囲内だろう。これから交渉が必要なことはお互いに分かっている。どちらも本音では「合意なき離脱」は望んではいない。しかし、そう簡単には相手に甘い顔を見せられない。思い切りハードルを上げてからでないと、これからの交渉で不利になるからだ。