韓国経済に輸出急減の懸念が顕在化している韓国経済に輸出急減の懸念が顕在化している(写真はイメージです) Photo:PIXTA

韓国経済に
輸出急減の懸念が顕在化

 足元、韓国経済に輸出急減の懸念が顕在化している。元々、韓国は輸出依存度の高い経済構造で、輸出の減少は経済全体に深刻なマイナス要因となる。

 韓国の輸出急減の背景には、主力輸出先である中国の景気減速やトランプ米大統領の通商政策の影響などがある。特に、米中の貿易摩擦の深刻化に伴い、現在、世界のサプライチェーンが混乱している。そのため、輸出依存度の高い国ほどマイナスの影響が出ている。

 韓国はその1つの例といえる。韓国以外にも、ドイツをはじめとするユーロ圏各国を中心に輸出依存度の高い国の景気は急速に悪化している。

 8月の韓国の輸出は前年同月比で13.6%減少した。9ヵ月連続で韓国の輸出は前年同月の実績を下回っている。5月以降、米中の貿易摩擦への懸念が高まるに伴い、韓国の輸出減少幅は拡大している。

 これまで韓国は、サムスン電子など主力の財閥企業の輸出を増やすことで経済成長を遂げてきた。韓国のGDP(国内総生産)に占める個人消費の割合は50%を下回っており、米国や日本に比べ内需は厚みを欠いている。半導体の主要材料などを輸入し、国内で製品を生産し輸出して収益を得てきた韓国にとって、輸出減少は経済の屋台骨が揺らぐことにもなりかねない。

 韓国は、もう少し早い段階から財閥に依存した経済構造を改める必要があった。しかし、歴代の政権は改革に伴う痛みを避けてしまった。国内の資本の蓄積も期待されたほど進んでいない。経済環境の悪化に加え、最側近による数々の不正疑惑が浮上した文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、さらに厳しい状況に直面する可能性がある。