ワシントンで起きているドラマによって忘れがちになるが、米国の現政権で最も重要な外交政策の動きは、大統領が発信するツイートではない。それは、米国の国際政治戦略の中心を大西洋および地中海から、米外交・軍事当局者が言うところの「インド太平洋」に移すことだ。オバマ前政権が「アジアへのピボット(旋回)」と呼んだこのシフトは、時間がかかるが避けることはできない。そして、共和党または民主党、安全保障のタカ派またはハト派のいずれの専売特許でもない。インド太平洋の重要性について米国民の意見がまとまりつつあるとしても、われわれがその戦略でまとまっているとはとても言い難い。これは一つには、型破りな考え方の大統領が率いる行政府に原因がある。大統領は過去数十年にわたって米国の外交政策を形作ってきた専門家や機関としょっちゅう対立する。しかし、その裏ではトランプ大統領よりも大きな力が働いている。