香港を訪れる観光客数が8月、過去最大級の落ち込みを記録した。数カ月にわたる反政府デモが、地元経済に壊滅的な打撃をもたらしていることが改めて浮き彫りとなった。香港の陳茂波(ポール・チャン)財政官によると、8月の観光客数は前年同月比4割減と、数百人の死者を出した重症急性呼吸器症候群(SARS)まん延で大きな影響が出た2003年5月以来の落ち込みを記録した。また、減少幅は7月の5%減から拡大した。香港では、デモ隊と警官隊による激しい衝突や数時間にわたる地下鉄駅閉鎖などにより、旅行客や買い物客がデモに巻き込まれるケースが発生しており、通行人が催涙ガスや火炎瓶にさらされる事態に陥っている。デモ長期化に加え、米中貿易摩擦の激化や中国景気の減速も重なり、当局者は香港経済がリセッション(景気後退)入りすると警鐘を鳴らしている。