もっとも、銀行が提供する資金、あるいは情報やコンサルティングなどのサービスに真に価値があれば、収益性のある金利水準で貸し出しができたり、何らかの手数料を得ることができたりするはずだ。金利の環境だけが銀行の収益をむしばんでいるわけではない。とはいえ、急にもうけにくくなったのは気の毒なことだ。

 しかも、短期的な現象だろうと思われたマイナス金利が広い範囲にわたって定着していて、一部には今後の日銀の金融施策として「マイナス金利の深掘り」を予想する向きもある。「深掘り」などと、妙に文学的な(?)表現が広まっているが、銀行にとって収益的にはたまったものではないというのが現実だろう。

 一方、銀行だけではなく、「安全に運用しなければならない」という条件で資金を運用する組織や人も困っている。

 例えば、何らかの基金が「原則として損失を出してはならない。50%程度は国債で運用し、残りの資金も国債とほぼ同等の信用度がある債券で運用しなければならない」という条件を課せられて運用を行っている場合を考えてみよう。

 マイナス金利でも国債をはじめとする債券を買うのか、それとも利息は全く付かないが、全額が預金保険の保護対象になる決済性預金(当座預金など)に資金を置き続けるのかの選択を迫られる。預金保険の信用度を政府と同じと考えるなら、後者を選択することになるのだろうが、資金を増やす可能性を全く放棄することになるので、悩みは深い。

 ほぼ似た性質の資金の運用担当者と話したことがあるのだが、「個人は、国による元本保証で、しかも金利に0.05%の下限がある変動金利型の個人向け国債を買うことができるのでうらやましい」と言っていた。