筆者はこのマシーンを見たことがあるが、カップルや歌好きとおぼしきおひとり様が利用していた。友人とカラオケに行くために、新曲を練習しようという人も利用できる。

 1人向けのレストランやカラオケが出てきた背景は、おひとり様の増加だけでなく、自分の空間を大切にするという意識が中国人、特に若い世代に出てきたこともある。

 筆者が留学したばかりの頃は、中国人は話好きで、気軽に会話に付き合ってくれるというイメージがあった。実際に話好きな人もおり、1人で食事していたとき、知らない人に話しかけられたこともあった。だが今は、「自分の空間」を大事にする中国人が増えてきたためか、話しかけられることは以前より減った。

 年配の人や日本に興味がある人には今も話しかけられることがあるが、基本的にスマホの画面を見て“自分の世界”に入っている人が多い。娯楽手段が発達していなかったときは、おしゃべりは立派な娯楽だったが、今は暇をつぶす手段がいくらでもあるので、知らない人と話す必要もない。また、今は個人情報を悪用する事件も少なくないので、知らない人に自分のことを明かして、不必要なトラブルに巻き込まれたくないという考えもある。

楽しむための消費をするおひとり様
大都市で3割超える「月光族」とは

 前述のように、おひとり様は基本的に自分のために金を使うので、「楽しむための消費」となる。実家に住んでいるおひとり様には「月光族」(月の給料をすぐに使い果たしてしまう人)も少なくない。2019年3月13日付の『工人日報』の報道によると、北京や上海などの「一線都市」では43%のおひとり様が「月光族」で、「三線都市・四線都市」といわれる中小都市では67%のおひとり様が「月光族」だそうだ。

 また、同報道によると、北京、上海、広州など代表的な大都市のおひとり様の中で、あまりよく考えずにぜいたく品を買う人が28.6%おり、31.6%の人は毎月の支出が娯楽や付き合いのためのものだという。前出のWさんに、高い買い物をするときよく考えてするかどうかを聞いてみると、「高いものを買うのはさすがによく考えますけど、本とか、あまり高くないものなら、あまり考えずに買っちゃいますね」と答えた。