父親による激しい暴力。小学6年生で薬物依存

 リナは、1991年8月に大阪府堺市で生まれた、日本人の父とフィリピン人の母を持つハーフ。彼女が5歳のときに両親は離婚。父に引き取られ、母はフィリピンに帰国した。

「母親が岐阜のほうのフィリピンパブで働いていたとき、トラック運転手だったオヤジと出会ってデキちゃった結婚したらしいけど、詳しくはわからない。オヤジは最悪。オレが小学校2年生の頃、事故って会社をクビになって、その後は昼間から酒飲んで、夜はスナックとか風俗に通いまくりで。多分、よくわかんないけど生活保護を受けてたんだと思う」

 焼酎・いいちこを1日3本も飲むほどアルコールに依存する父親との生活。小学生の頃から暴力を振るわれ「いつも全身がみみず腫れ状態だった」という。

「マイカの西成よりは全然マシだけど、堺も悪いのが多いから。小学校5年の頃から、中学校や高校の先輩たちと遊ぶようになった。最初はタバコ。シンナーはやったことない。でもクサ(大麻)は早かった。小学6年生のとき。この頃は10代半ばの奴らとツルンでたんで、みんなくれるんだ。で、ガキだからすぐにブリブリになっちゃうじゃん。それを見て面白がって、みんなどんどん吸わせようとするの」

「同性愛者ではない」男への憧れから「男装」の道へ

 リナは薬物に依存すると同時に、「男装」に凝るようになっていった。

「高校を1年で中退してから、ホントに突然なんだけど、男のカッコにあこがれるようになっちゃって。とくにオラオラ系のメンズナックルズに出てくるような男。色黒で、黒髪短髪を立てて、サングラスとかして、レザーのジャケットに白いパンツみたいな。靴はヘビ革のとんがったやつとか。こういうのにすっごい憧れて、自分も同じようなカッコするようになったんだ」

 しかし、リナは自分が「同性愛者ではない」と強調する。

「男のカッコして女と遊んでるからみんながレズとかオナベかっていうと、違う。そういう奴らもいるけど、そうじゃないやつもいる。オレの場合、純粋に男になりたい。ただそれだけ。だけど、恋をするのは普通に男。付き合ってきたのも男。じゃあ、ホモかよって(笑)」

「10代の頃は、ミナミで“ギャル狩り”。ギャルサーってあるじゃないですか? オレ、ああいうツルむ奴、大嫌いで。それに男禁止とか、服はこうじゃなくちゃいけないとかやたらにルールが多いんですよ。あれがウザい。日本人って感じで。受けつけない」

 そして、16歳の時、年齢を偽ってキャバクラで働き始めた。