自分を抑えられず、キャバクラを転々とする日々

「でも、一つの店で最長2ヵ月。大阪では10店舗近くで働いたかな。オレ、続かないんだよ。だいたい客とケンカするか、スタッフとケンカするか。頭にきたら、店で暴れちゃう。ビール瓶で客の頭殴ったこともある。東京に出てきたのはそれが原因。警察沙汰にはならなかったけど、殴った相手がヤクザと関係がある人だったみたいで、超ヤバいことになっちゃって。追い込みかかる前に『逃げちゃえ』って。それが1年半位前のこと」

「最初はブクロのキャバ。これが1ヵ月。その後体験入店みたいなのを1ヵ月くらいやって、だんだん嫌になってきた。男の相手するのが。特に酔っぱらい。オレ、酔っぱらい見るとチョー頭にくるんだ。酒飲んで絡んでくる客はたいていぼこっちゃう。一種の病気かも。それは自分でも怖い。すぐに殴っちゃう」

「そっから、歌舞伎町の『D』っていうホストクラブっていうかボーイズバーにミナミ出身の知り合いが勤めてたから、紹介してもらった。店長と会って『ホントは女だけど、男としてホストをやりたい』って言ったら運よく採用。これが9ヵ月位前」

 女性がホストクラブで働くなんて嘘のような話に聞こえるかもしれないが、外見をきれいに整えている男性に囲まれる環境では、多少小柄ではあるものの、自ら言い出さない限り隠し通すことができるようにも見える。

性別を偽り入店したホストクラブでマイカと出会う

「その店にいたの4ヵ月位だったけど、最初の月が20、次の月が40万って感じで、給料もアップしていった。今から半年以上も前のことかな。マイカが、フリーの客として来たんですよ。たまたまオレがサブで席に入って。で、オラオラ系で思いっきりいじってやって。そしたら翌日から毎晩通ってくるんですよ、指名で。で、店外(デート)に誘ってくる。超ウザいんですよ。会って1週間後くらいに、仕方ないからアフターで一緒に飯食って……」

 それから数日後、マイカの様子がおかしい。

「『あんた、女やろ』って。これはバレてるなって思ったから、オレもあっけなく『そうや。それがどないした』って答えたの。最初、『詐欺!』とか騒いでたけど、キスしてやったらおとなしくなった。それからも毎晩店に来た。同じ関西出身だし、だんだん、何ていうか、気も合うなって感じになってきて」

「それで2ヵ月位経った頃、店を辞めちゃった。酔っぱらいの女に体触られたり、絡まれたりするのにウンザリしちゃって。女の酔っぱらいは最低だ。だけど、こいつの場合、酒は飲んでもそんなに変わらないの。だから、まあいいかって」

「それで、こいつと飲んでるときに、『2人で移動キャバクラでもやるか』って盛り上がっちゃって。で、こいつもデリ(デリバリーヘルス)辞めて、その後2人で今のような生活をするようになったわけ」