欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は8年の任期を強力な刺激策で締めくくりたいと望んでいる。これに対し、緩和措置は尻すぼみになるかもしれないと不安視する声も出ている。10月31日に退任するドラギ氏は、貿易を巡る緊張で揺らぐユーロ圏の景気押し上げを目指し、最後の一押しとなる大規模な金融緩和を計画していることを示唆した。だが、これに反対する声が強まり、ECB理事会メンバー25人の中でも否定的な姿勢が広がっている。ドラギ氏に批判的な向きは、2兆6000億ユーロ(約310兆円)相当の債券買い入れプログラムの段階的終了に着手してわずか1年で、新たに積極的な措置を打ち出すことを正当化するほどにはユーロ圏経済は弱体化していないと指摘。家計や企業、政府の借り入れコストは非常に低いため、金融緩和はほとんど効果をもたらさないとも主張している。ECBの預金金利は既にマイナス0.4%となっている。