【一発アウト】家賃交渉でやってはいけないこと…法的にも危険!
少し前、退職代行サービスの摘発が話題になりました。不動産管理の現場でも、家賃交渉や滞納督促で「伝言」と「交渉」の線を越えると、弁護士法違反に問われるリスクがあるのです。本記事の書き手は棚田健大郎さん。1年間必死に勉強したのに宅建に落ちた経験をきっかけに、「勉強が苦手な人でも続けられる方法を作ろう」と決意。棚田さんの勉強法をまとめた『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の刊行を記念して、本記事をお届けします。
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【一発アウト】家賃交渉でやってはいけないこと…法的にも危険!
本日は「家賃交渉」についてお話しします。
退職代行サービスの運営会社が捜索を受けた、というニュースを見て「へえ」で終わらせてしまうのは、不動産業界にいる人ほど危険かもしれません。なぜなら、そこで問題になっている「伝言」と「交渉」の境界線は、不動産の現場にも普通に存在するからです。
弁護士法を知っていますか?
弁護士法では、弁護士でない人が報酬を得る目的で、法律事件に関する法律事務を扱うことなどが禁止されています。現場の感覚では「管理の一環」「親切でやっているだけ」でも、当事者間に争いがある状況で、条件を詰めたり解決に向けて主導したりすると、法律事務を扱っていると見なされる可能性が出てきます。
しかも「報酬」といっても交渉料だけではなく、管理委託料など業務として対価を受け取っている構造があると、報酬目的と評価される余地が生まれる点も油断できません。ここでは、不動産業界で特に「一歩間違えると危ない」と言われやすい業務を2つ、現場目線で整理します。
家賃交渉のポイント
まず一つ目は賃料交渉です。入居者から「家賃を下げてほしい」と頼まれたり、貸主から「相場が上がっているので家賃を上げたい。入居者に交渉してほしい」と言われたり、管理会社・仲介会社なら日常茶飯事でしょう。
リスクを下げるには、あくまで当事者の意思を「伝えるだけ」に徹することです。たとえば「貸主は家賃を○円上げたい意向です」「借主は○円下げてほしい意向です」といった伝達・連絡の範囲で止める、ということです。
一方で、相手が反対して争いの空気が出てきたときに、こちらが前に出て条件を詰めたり、説得したり、落としどころを作りにいったりすると、単なる伝言役ではなく、紛争の処理としての「交渉」に踏み込んだと評価されるリスクが高まります。現場では「管理の一環」と捉えがちでも、法律の見え方は別で、揉めているところを有償の立場で解決しにいく構図が危ない、という整理になります。
滞納家賃の督促・回収のポイント
二つ目は滞納家賃の督促・回収です。貸主から「今月入っていないから連絡して」と言われ、管理会社が電話や書面で催促する場面は珍しくありません。
ここでも、事実の通知、つまり「○月分が未入金です」という客観的事実を伝えるだけなら、比較的リスクを抑えやすい一方で、相手が「払えない」「払わない」と明確に対立した後に、分割条件・減免・明渡しとの絡みまで踏み込んで「解決」を主導してしまうと、債権回収や紛争処理の色が濃くなり、非弁行為と評価され得る領域に入りやすくなります。
特に注意したいのは、督促や回収を「別料金」で受けたり、成功報酬のような形にしたりしてしまうケースです。外から見たときに、債権回収を業として行っている構造に見えやすく、問題が顕在化したときのリスクが大きくなります。
現場で働く人の心がまえ
じゃあ現場としてはどうすればいいのかというと、「全部やるな」ではなく、最初から線引きを意識しておくことに尽きます。揉めていない段階では事実連絡や意思の伝達に留める。対立が顕在化して交渉・解決の段階に入ったら、弁護士に相談・依頼する導線を用意する。紹介をするなら、金銭のやり取りや実質的な周旋ビジネスにならないよう距離を取る。
賃料交渉と滞納督促は、頑張りどころでありながら、同時に踏み込みすぎると危ない代表例です。知っているだけで無自覚に地雷を踏む確率は下がりますし、相手から「それ、あなたがやっていいんですか?」と突っ込まれたときに、こちらがどこまでを業務として行い、どこから先は弁護士の領域として切り分けるのかを説明できるだけでも、トラブルの燃え広がり方は変わってきます。
(本原稿は、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の著者の寄稿です)







