またiPhone 11 Pro/iPhone 11 Pro Max発売後に提供されるというDeep Fusionは、シャッターを押す前から3つのカメラで3回の撮影を行い、全部で9枚の写真から低ノイズでベストな写りの部分だけを組み合わせるという。

 これらのマルチショットな画像合成機能を、待ち時間を短くして特別なモノとは感じさせないようにするのもA13 Bionicの役目となるはず。センサーサイズは小さくとも、デジタル処理の力で高価格なデジカメに匹敵するほどの写真撮影が可能になると見ている。

裾野拡大を狙うアップルの戦略

 新しいiPadとiPhoneのスペックを見比べると実に対象的だ。低価格だが堅実なスペックを持ち、ビューワーであればなんら不満を感じないiPadに対し、iPhoneは撮影画質を高め、画像レタッチ・映像編集時の快適性も向上させてきた。

 iPadにはiPad Proというハイエンドラインがあるが、今回の発表からは大きなデバイスだからクリエイティブワーク向き、といった先入観を取っ払うインパクトがあった。

 今回発表されたハードウェアは、これまでのアップル製品の順当な進化と考えていい。プロセッサの高速化を肯定し、現在のスマホトレンドに乗った高いカメラ性能も持ってきた。

 だが同時に、アップルが、「ハードウェアだけでは商売が成り立たない」と考えているのではないかという気配も感じた。月額600円という低価格なサブスクリプションサービス、そして低価格なデバイスの発表は、同社がこれまで以上にユーザーの裾野を広げる覚悟の表れではないだろうか。

(ライター 武者良太)