シンガポール国立大学(NUS)リー・クアンユー公共政策大学院の「アジア地政学プログラム」は、日本や東南アジアで活躍するビジネスリーダーや官僚などが多数参加する超人気講座。同講座を主宰する田村耕太郎氏の最新刊、『君はなぜ学ばないのか?』(ダイヤモンド社)は、その人気講座のエッセンスと精神を凝縮した一冊。私たちは今、世界が大きく変わろうとする歴史的な大転換点に直面しています。激変の時代を生き抜くために不可欠な「学び」とは何か? 本連載では、この激変の時代を楽しく幸せにたくましく生き抜くためのマインドセットと、具体的な学びの内容について、同書から抜粋・編集してお届けします。
Photo: Adobe Stock
投資は「美人コンテスト」と言われるが…
投資は「美人コンテスト」であるとも言われる。
特に公開株はそうで、皆がいいと思わないと値が上がらないからだ。
皆が「美人」と思う人に投票すれば、誰が優勝するか予測できるので美人コンテストでの賭けに勝てる。
しかし、それでは損はしないが、大きなリターンにはならない。特に初期のスタートアップに投資するゲームなら、美人コンテストにはならないのだ。
むしろ美人コンテストの逆張りで、みにくいアヒルの子が勝つことが往々にしてある。
なぜなら、ビジネスとして勝つ会社は、できた当時はあまりパッとしないものが多いからだ。
先述した通り、今や最強のテックカンパニーであるアマゾンも、設立当初は誰も投資しなかった。
お金がなかったので、ジェフ・ベゾス氏は、両親にすがって彼らの退職金をあてにするしかなかった。当時は、誰も「インターネット上に世界最大の書店を創る」というアイデアに魅力を感じなかったのだ。
しかし結果として、両親は、見事「世界で最もみにくいアヒルの子」を得て、個人投資家として世界最高のリターンを更新しつつある。
アマゾンは、「みにくいアヒルの子」投資法の最も成功した事例だ。
多くの人が「魅力的と思わない」ものを選ぶ
投資の鉄則は「安く買うこと」であると先述した。
そのためには、以下の条件が必要だ。
・安く買うには、早くその案件に出会う
・安く買うには、多くの人が魅力的と思わないものを選ぶ
・小さくて魅力的でないものは、ほとんどは滅びるので、そうであっても、十分勝てる要素を持っていると
確認し、それを確信できることがマスト
十分勝てる要素とは、
・差別化が効いている
・潜在市場は大きい
・上記の2つがあればハイマージンになる
・チームがいい
・なんといっても起業家がいい(優秀で根性があり営業ができる)
これらの点を、よく確認することだ。
あまり魅力的に見えなくても、これらの要素を持っている案件は、よく見ればいろいろある。
しかも、安ければ仮に当てが外れても傷は小さくて済む。
しかし、一発当たれば、大きなリターンが得られるのだ。
(本稿は『君はなぜ学ばないのか?』の一部を抜粋・編集したものです)
シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院 兼任教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル・リーダーシップ・インスティテュート フェロー、一橋ビジネススクール 客員教授(2022~2026年)。元参議院議員。早稲田大学卒業後、慶應義塾大学大学院(MBA)、デューク大学法律大学院、イェール大学大学院修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。山一證券にてM&A仲介業務に従事。米国留学を経て大阪日日新聞社社長。2002年に初当選し、2010年まで参議院議員。第一次安倍内閣で内閣府大臣政務官(経済・財政、金融、再チャレンジ、地方分権)を務めた。
2010年イェール大学フェロー、2011年ハーバード大学リサーチアソシエイト、世界で最も多くのノーベル賞受賞者(29名)を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で当時唯一の日本人研究員となる。2012年、日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。ミルケン・インスティテュート 前アジアフェロー。
2014年より、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授としてビジネスパーソン向け「アジア地政学プログラム」を運営し、25期にわたり600名を超えるビジネスリーダーたちが修了。2022年よりカリフォルニア大学サンディエゴ校においても「アメリカ地政学プログラム」を主宰。
CNBCコメンテーター、世界最大のインド系インターナショナルスクールGIISのアドバイザリー・ボードメンバー。米国、シンガポール、イスラエル、アフリカのベンチャーキャピタルのリミテッド・パートナーを務める。OpenAI、Scale AI、SpaceX、Neuralink等、70社以上の世界のテクノロジースタートアップに投資する個人投資家でもある。シリーズ累計91万部突破のベストセラー『頭に来てもアホとは戦うな!』など著書多数。



