魅力的な働き方で
人材を獲得するケースも

 しかし今後、一時金や調整金を支払う動きが拡大するかというと、そこまで大きな広がりにはならないかもしれません。対象となる優秀な人材層は限られているからです。

 ただし、この連載でも以前取り上げた通り(参照:日本で働きたい優秀な外国人が結局、来日しない理由)、グローバルに見ると日本企業の給与水準は競争力を失ってきています。まだ顕在化はしていませんが、これからAIやIoT、デジタルトランスフォーメーションといった領域のグローバルな人材獲得競争が始まっている職種では、候補者に提示される年収が一層上昇していく可能性があると思います。

 グローバル人材に関しては雇い主が世界中にいるので、日本の安い給与水準に甘んじる必要がないわけです。こうした人材に対しては報酬だけではなく、働き方で報いるケースも出てきています。

 ある年収5000万円の候補者は、年収2500万円で転職を決めました。

 年収は半分に下がります。ただし出勤するのは週3回で、かつ自分の事務所を開設して、自社と競合しない限り案件を受注してよいというのがその条件でした。こうなると社員というより、専門性の高い仕事を複数の企業から業務単位で請け負うインディペンデント・コントラクター(独立業務請負人)に近くなってきます。

 企業は、人材の獲得向けて、給与水準のみならず、さまざまな社員の働き方を考え、魅力的なあり方をつくっていかねばならないといえるでしょう。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)