新しくラディソン成田および周辺敷地のオーナーになったのは、ホテル事業を中心に、インバウンドビジネスを展開するシーエイチアイという企業だ。同社を率いるのは「在日華人一の富豪」の異名を持つ露崎強会長。30年前に来日した露崎氏は全国でホテルを買収し、現在は8つのホテルとゴルフ場、貸し切りバス会社、旅行会社を経営する。

館内は大江戸温泉に“ソックリ” Photo by R.Y.

 そんな露崎氏が目を付けたのが、スーパー銭湯だった。アジア人観光客の客層が変わり、団体客から圧倒的に個人旅行、そして若年層が増える中で、「2000~3000円程度で、風呂に入れて仮眠が取れる場所があれば、絶対ウケる」(露崎会長)と考えた。

 成田空港がLCC(ローコストキャリア、格安航空)ターミナルを拡張し利用者を倍増させる計画を進めていることから、空港や地元自治体、航空関係者にもプロジェクトを伝え、着工に踏み切った。

 手本はあった。東京・台場にある大江戸温泉物語だ。和の雰囲気が人気で、仮眠スペースもあり、大勢の外国人客で賑わっている。露崎氏は大江戸温泉物語の創業者と親しい間柄。羽田空港利用者が台場の大江戸温泉で休憩することにヒントを得て、成田エリアでも同様の事業が成功すると踏んだ。

 湯楽城の館内に入ると、台場の大江戸温泉に“ソックリ”である。利用者はまず浴衣に着替えると、食事処と休憩スペースがあるエリアに進む。全体的に和風の洒落た内装で、インスタ映えしそうな装飾が施されている。「築400年の古民家をそのまま移植した部分もある」(関係者)という。

成田のスーパー銭湯が開業、機内食工場の意外な転身春雨のピリ辛スープ麺は、本場中国の有名チェーンならではの味がした Photo by R.Y.

 食事処は、和食と中華のフードコート、居酒屋、バー、甘味処と複数業態がある。イチオシは中国の有名中華料理チェーン「胡家小館 張亮麻辣湯」で、ビリリと舌がしびれる山椒のきいた本場の麻辣湯(春雨のスープ麺)、本格的な水餃子が富里市のスーパー銭湯で食べられる。

 館内は台場の大江戸温泉よりもはるかに広い。正面玄関から見た間口は170メートル、奥行きは60メートルもある。広すぎるあまり、「お客が数百人入っても、なお、がらんとした印象で、賑わう感じを生み出せない」と関係者は呟く。

 この建屋はもともと機内食工場と研修施設の用途だったため、湯楽城は「一般公衆浴場」の用途ではなく、「ホテルの付帯施設」になっている。それもあって幾つかの制約があり、例えばショーを行う立派なステージと照明を設置したが、「興行」は禁止されているという。