アキコさんの「就労したい」という意欲は強い。就労を試みたことは数回あったけれども、短期間のうちに心身の調子を崩し、勤務を継続できなくなったりした。

 現在、通っている障害者作業所は、居場所機能を中心としたB型。作業内容は、木彫りの土産物製作の下請けで、工賃は1時間あたり200円。午前9時から午後3時まで、1時間の休憩をはさんで5時間の勤務だ。昼食代の実費が差し引かれるため、1カ月あたりの手取り収入は、1万円を超えるか超えないかだという。それはほぼ、召し上げられずに可処分所得の増加となるが、「小遣いが増える」程度だそうだ。

 アキコさんが作業所に通っている目的は、主に生活のリズムをつくることである。また、夏の暑い日には、作業所の扇風機で涼むこともできる。というよりも、その工賃では、収入のために働くこと自体が無理だ。

 今回の消費増税が、「出費が増えて暮らせなくなった」という理由で、社会とのつながりや生きがいとなっている活動を、生活保護で暮らす人々から奪うことは、十分に予想される。消費増税によって「ただちに」ではないとしても、厚労省が想定している消費増税対策ではカバーできない出費が、ジワジワと生活を締め付け、「諦める」という選択を強いる可能性がある。しかも、直後には現れにくいだけに、実態把握は困難だろう。

牛乳からコーヒーへ
値上がりが変えた生活習慣

 アキコさんは、消費増税の数ヵ月前に買い控えするようになったものがある。牛乳だ。

 牛乳が好きなアキコさんは、おおむね週に2本、1リットル入りのパックを購入していた。しかし、今年春の乳製品の値上がりで、牛乳を毎朝飲むことを断念した。現在、朝の飲み物はコーヒーだ。コーヒー豆を挽いた粉を購入し、毎朝、自分で1杯だけ淹れるという。