「人生逆転」できたヒロインとできなかった友達、夢も希望もない“格差描写”で朝ドラ大丈夫か〈ばけばけ第77回〉『ばけばけ』第77回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第77回(2026年1月20日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

「ステーキは素敵ね」と貴婦人のようにほほ笑んだ

 いよいよサブタイトルの「カワ、ノ、ムコウ。」問題が浮上してくる。

 豪邸に暮らしはじめた松野家だがいいことばかりであるはずもなく。光あるところに影あり。

 朝、朝食の支度をしながら、フミ(池脇千鶴)が昨日のパーティーの愚痴をトキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)にこぼす。

「せっかくのお祝いだし。初めての西洋料理だったのに食べた気がせんかったわ」

「でも私たちはええとして、またヘブンさんが妙なことになっちょらんかったらええけど」とトキがヘブンを心配していると、「私、心配ない」とヘブン(トミー・バストウ)が厨房(ちゅうぼう)に顔を出した。

「正座ない、小骨ない、天国、ただごちそうを食べた でした」

 ヘブンはストレスなく、おいしいものを食べることができた。滞在記も書けたし、心身ともに軽やかなようだ。

「ところてん」(ところで)と話題を変えるヘブン。モデルである小泉八雲が「ところてん」などと言ったかどうかはわからないがドラマのヘブンは言う。

 朝刊に昨日の記事が掲載されていた。

 題して「ヘブン先生日録」、ヘブンとその家族の話を「毎日お届けする」となっていて、まるで毎日朝ドラレビューのようだと筆者は、記者の梶谷(岩崎う大)に共感する。だが内容がいただけない。

「ステーキは素敵」が見出しになっているのは、そこを見出しにするよねえと共感する。

「ヘブン邸の夕餉(ゆうげ)は西洋料理と決まっており」は虚偽である。

 また「愛妻のおトキさんは『ステーキは素敵ね』と貴婦人のようにほほ笑んだ」、これも虚偽である。

 だがトキはさほど怒らず「梶谷さん、いつも大げさに書くけん」と困惑するに留まり、フミに至っては「貴婦人」と書かれたことを喜んでいた。

 基本陽気な松野家。