東京オートサロン2026・SUBARUブースに展示した「WRX STI Sport♯」東京オートサロン2026・SUBARUブースに展示した「WRX STI Sport# プロトタイプ」 Photo by Kenji Momota

SUBARUが今、大きく変わろうとしている。そのことを昨秋開催のジャパンモビリティショー2025に続き、年明け早々の東京オートサロン2026でも実感した。水平対向エンジン、アイサイトなどの独自技術を継承しつつグローバルでブランド再構築を進めるSUBARUの実態に迫る。(ジャーナリスト 桃田健史)

「ブランドを際立てる」という意識がさらに強まった

「これまでの常識が通用しない」

 カスタマイズカーの祭典として知られる東京オートサロン2026(1月9日~11日:千葉県幕張メッセ)のSUBARUブースで複数のSUBARU関係者が漏らした言葉だ。

 本来なら日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した「フォレスター」をもっとアピールして販売を伸ばしたいはずだが、その姿がSUBARUブース内で見当たらない。

 また、過去の東京オートサロンでは「クロストレック」を含めてオフロード志向のコンセプトモデルや関連するメーカーオプションパーツの販売促進を行っていたが、そうした展示もまったくないのだ。

 ブースの中央では、パフォーマンス性を強調するSTIコンプリートカー「WRX STI Sport# プロトタイプ」を世界初公開。現行WRXの日本仕様として6速マニュアルトランスミッション、足回りでは独ZF製ショックアブソーバー、そしてブレーキにはゴールド塗装のbrembo製18インチフロント対向6ポットキャリパーを採用するなど、WRXのスポーティー性にさらに磨きをかけた。コンセプトモデルではなく、今春に台数限定で発売する。

 同モデルを挟んで、ブース右側にはボディカラーにサンライズイエローを採用した「レヴォーグ」特別仕様車などを展示。またブース左側にはエンジンを刷新したスーパーGT300用「BRZ」や独ニュルブルクリンク24時間耐久レースなどモータースポーツ関連マシンを並べた。

 ブース全体のコンセプトは、SUBARUを「パフォーマンスブランドとして際立てる」ことだ。

 こうした展示手法について、ディーラーからは「パフォーマンス系に偏り過ぎており、実売効果が低い」と見えるかもしれない。売り上げを立てやすいフォレスター関連の展示をしてもらいたいという観点だ。

 ユーザーもパフォーマンス系好きばかりではないので、ユーザーの中には500台限定の抽選販売される「クロストレック ウィルダネスエディション」や、ジャパンモビリティショー2025で初公開された「フォレスター ウィルダネス」について詳しく知りたいと思う人がいるだろう。ウィルダネスは、SUBARUが米国で展開するオフロード仕様ブランドで、ユーザーの間では日本導入を求める声が高まり、それを受けてSUBARUが日本導入を決断したという経緯がある。

 そうした市場の声をあえて抑えてまで、SUBARUは中長期の視点で「ブランドを際立てる」ことを優先し、東京オートサロン2026ではパフォーマンスブランドの展示に特化した。

 なお、SUBARUによれば、ウィルダネスなど「アドベンチャーブランド」については、SUBARU独自イベントなど別途の展示・取材の機会を模索しているという。

 こうしたSUBARUの経営判断にはどのような背景があるのか。