地図帳写真はイメージです Photo:PIXTA

帝国書院と
地図研究家・今尾恵介氏がタッグ

『地図帳の深読み』書影『地図帳の深読み』 今尾恵介著 帝国書院刊 1800円+税

 帝国書院の本だ。そう、あの地図帳の出版社である。ほとんどの教科書は捨ててしまったが、歴史の資料集や星座の早見盤などと一緒に「地図帳」は手元に残しておいた、という方も多いのではないだろうか。本書『地図帳の深読み』は、そんな方にピッタリの本である。

 捨てずにとっておいたのは、表向きには「ニュースの時に確認用に使えるから」かもしれない。しかし、実はそれ以上に「黙って眺めているだけで面白いから」という理由も、大きいのではないだろうか。要するに、地図帳は愛玩物なのである。

 その悦びを満喫するために、この本は生まれた。あの帝国書院と地図研究家・今尾恵介氏がタッグを組んだのだ。本書を片手に、いま一度、家の奥に眠る地図帳を引っ張り出して眺めてみよう。本屋さんで新しい地図帳を買ってもいい。新旧で見比べられたら最高だ。

 まずは、本書の構成を紹介しよう。第1章「地形に目をこらす」、第2章「境界は語る」、第3章「地名や国名の謎」、第4章「新旧地図帳を比較する」、第5章「経緯度・主題図・統計を楽しむ」。まさに、地図帳を隅々まで堪能できる一冊なのである。

 冒頭で著者は、こう述懐する。