トップ会談で話し合われた件だけに、両社はすぐに検討を開始。現場レベルも含めて両社それぞれに「どのような協力体制が理想か」「互いの弱点をカバーできる領域はどこか」といった社内協議に入った。約3ヵ月をかけた検討の結果、ある程度の路線が固まり、17年2月に“業務提携の具体化に向けた覚書”が交わされた。この段階で業務提携を行う方針が本決まりとなった。

商品ジャンルと手持ちの技術および市場を
互いに補い合うという提携

 これ以降、トヨタとスズキが資本も含めた提携関係になるかが注目されたが、さらに1年を費やした協議の結果、今年3月に「新たな協業検討に合意」との内容が発表された。それが冒頭の3項目だった。この時点では触れられていなかったが、最終的に資本提携が発表された。提携案件が公表されてから2年以上を経ての資本提携合意だったが、この間、両社それぞれに動きがあった。

 昨年9月にスズキは中国からの撤退を発表した。国営大手の長安汽車との合弁会社である重慶長安鈴木汽車について、スズキの持ち株分を「長安汽車に譲渡する」と発表、「約25年間続いた中国事業だが、現地市場がより大型のクルマにシフトしている状況もあり、株の譲渡を決めた」と鈴木会長はコメントしている。中国の江西昌河汽車との合弁会社である昌河鈴木汽車についても、スズキの持ち株すべてを昌河汽車に譲渡し合弁を解消しており、中国市場については「商品供給の契約期間が満了を迎えた時点で完全な撤退となる」と説明した。

 その一方でスズキは、最大の生産拠点のインドで生産するモデルをトヨタに供給するほか、両社で協力してアフリカ市場の開拓を行う計画が昨年5月に発表されていた。スズキとしては、利益の上がらない中国から撤退し、インド事業の拡大とアフリカ開拓というメインビジネスに取り組む方針を優先した。同時にトヨタは、スズキのエンジン開発などを支援するほか、スズキが開発したクルマを自社のインド拠点で生産する計画を決めた。

スズキがインドで販売するワゴンR
スズキがインドで販売するワゴンR 全長3655mm Photo:SUZUKI

 要するに、スズキとトヨタは、商品ジャンルと手持ちの技術および市場を互いに補い合うという提携である。資本関係を結んだのは、この協力体制の象徴という意味合いが強いだろう。力の支配とは無縁の、欧米の自動車メーカーではあり得ない資本提携といえる。