トヨタとスズキが
資本提携を発表
トヨタ自動車とスズキは8月28日、資本提携に関する合意書を締結したと発表した。両社は、長期的な提携関係の構築・推進のために相互に株式を取得することになり、トヨタは960億円(4.94%)をスズキに出資し、スズキは480億円(0.2%)を出資して相互に株式を持ち合うことになる。
すでに、両社は2016年10月に「両社が業務提携に向けた検討を開始する」ことを発表し、トヨタから豊田章男社長、スズキから鈴木修会長が出席しての会見を行った。あれから2年経過する間、17年には包括的な業務提携を発表。電動化で先行するトヨタがスズキにハイブリッド車(HV)を提供し、トヨタが設立した電気自動車(EV)の基盤技術の中核会社にスズキも参画する一方で、スズキの独断場であるインド市場でトヨタとデンソーも絡んでの電動車連携などに進んでいる。
さらに今年3月には、トヨタの強みである電動化技術とスズキが得意な小型車技術を生かした商品補完を進めることに加え、商品の共同開発や生産領域ごとの協業に取り組むため、具体的な検討に着手することを公表した。
「両社の業務提携に向けた検討」の発表がトヨタとスズキ提携のスタートであり、非常に慎重な言い回しでありながら両社トップが記者会見で発表してから2年経過して資本提携に踏み切ったわけだが、この間の流れを見ると「時間の問題」であったと同時に、スズキ陣営の“お家の事情”が背景にあったといえよう。
そこには、スズキの“中興の祖”でカリスマ経営者の鈴木修会長によるスズキの将来に馳(は)せる強い思いがあった。スズキ創業家一族のトップとして半世紀近く君臨してきた鈴木修会長だが、創業家の娘婿としてスズキ入りして以来、国内での軽自動車トップメーカーの位置づけを確保する一方で、誰よりも早くインドに着目して同市場で圧倒的なトップシェアを獲得した“修流経営手腕”は誰しも認めるところだ。