ホンダは小さな会社?
4月1日に研究所は組織改編
「ウチのような…」
10年ほど前まで、本田技研工業(以下、ホンダ社内での呼称に基づき「本社」)や本田技術研究所(研究所)のベテランたちの口から、そんな表現がよく出たものだ。
「ウチのような…」の後には、「小さな会社が」という感じで言葉が続く。
確かに、高度成長期に幼少期を過ごした筆者世代にとっては、ホンダが小さい会社とは思わないまでも、トヨタや日産に比べると、規模は小粒でもキリリといい味出すメーカー、といったイメージを抱いていた。
だが、当然ながらホンダはいまや巨大企業。世界全体売上高は15兆円、日本国内では全業種でトヨタに次ぎ2番目に位置する。
そんなホンダがいま、大きく揺れている。
二輪車事業ではインド・中国メーカーが大衆車から高級車へと一気にモデル拡大を進める状況に危機感を持ち、本社と研究所の二輪事業部が完全に融合した。ホンダは創業者・本田宗一郎氏の方針として、本社が商品企画した案件の研究開発を子会社である研究所に発注し、出来上がった図面をもとに本社が製造販売するという、世界でもまれな組織体制を敷いてきた。その一部が二輪車事業で完全に崩れたのだ。
四輪車についても、2019年4月1日に研究所の大規模な組織改編を行った。
四輪事業全体の戦略を、統括機能本部で一元管理する。その上で、これまでの四輪R&Dセンターと先進事業を管轄したR&DセンターXを見直し、量産向けはオートモービルセンター、先進リサーチに特化する先進技術研究所、IT関連事業向けのデジタルソリューションセンターを新設した。