常識的に考えれば、英国は非常に困難な政治的崩壊状態にある。ブレグジットをめぐる論争が紛糾し、次の展開はもちろんのこと、誰が主導権を握っているかさえ一段と分かりにくくなっているからだ。しかし、例によって常識は間違っている。英国の問題は、政治システムが有効に機能しすぎていることなのだ。こうした見方を疑うのも仕方ない。今週の主な出来事はと言えば、英議会がいつ開かれているのかすら、もはや議会自体も把握していないという状況だった。ボリス・ジョンソン首相は今月に入り、約5週間にわたって議会を閉会にしようと試みた。議会の機能を停止させることで、欧州連合（EU）との新たな離脱合意を交渉する時間的余裕を確保しようとしたのだ。英最高裁は24日、この戦略が違法との判断を示した。つまり理屈の上では、英議会はこの間ずっと、それとは気付かないまま開会中だったのだ。