香港危機、習近平氏には何を意味するか
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【北京】習近平氏は2012年末に中国の指導者に就任する4カ月前、香港をめぐり共産党として一つの指示を出した。その残響は今なお消えていない。

 かつて香港問題を担当した元政府高官によると、香港を監督する党委員会のトップだった習氏は当時、分離独立運動が広がっていると見て、関係者に抑え込みを命じた。

 中国からの独立を訴える香港市民は今でも少数派だが、当時はほんのわずかだった。香港で今起きているような抗議運動は想像もできなかったような時代だ。

 しかし習氏が出した指示は、反対意見や政府に対する傲慢(ごうまん)な態度は許さないというスタンスの表れだった。多くの政界関係者やアナリストは、そうした習氏のスタンスが、自身にとって最も重要な「一つの中国」という野望を危機にさらしていると指摘する。

 中国の指導者にとって祖国統一は過去何世紀にもわたり頭の痛い問題だったが、習氏は香港との統合深化と台湾統一を政権の優先事項とし、中華民族の復興という「中国の夢」の基本理念に据えた。習氏の指示は中国政府による香港支配を強化する措置のひとつだった。その動きは習氏が国家主席になると一段と強まった。