香港情勢は天安門の再来となるか?
Photo:EPA/JIJI

米中貿易戦争や、韓国文在寅政権の北朝鮮への肩入れ行為など、東アジア情勢からは目が離せません。今後、東アジア諸国の関係はどのように変化していくのでしょうか?今回は、香港政府が進める「逃亡犯条例」の制定に市民が反発、大規模なデモが起こっている香港について、駿台予備学校・世界史科講師の茂木誠氏が解説します。

ランドパワー共産党と
シーパワー香港が全面対決

 2019年6月、香港では「逃亡犯条例」制定の動きに反発して大規模なデモが始まりました。2ヵ月が経過してもまったく収拾の目処が立たず、毎週末に継続して行われています。中国当局はこの動きが本土に波及することを警戒し、過激化する抗議運動を「テロ行為である」と警告を何度も発してきました。香港に駐留する人民解放軍6000人に加え、対岸にある深センのスタジアムには、治安維持を担当する人民武装警察数千人が集結した動画を、中国共産党系メディアの『環球時報』が流しました。

 トランプ大統領もツイッターにこの映像を転載し、「冷静になれ」と呼びかけました。

 習近平政権がこのまま武力鎮圧を決断し、天安門事件の再来となるのでしょうか?あるいは落とし所を見いだせるのでしょうか?

 イギリス古典地政学の祖であるマッキンダーは、ランドパワー VS シーパワーという対立構造を図式化しました。イギリスやオランダに代表される海洋国家(シーパワー)は、個々の商人・商社による自由で公正な貿易から得た収益を税収とし、航路と港(シーレーン)を保護するために海軍力の充実を目指します。東インド会社のような御用商人もありましたが、その経営は会社に一任されており、基本的に国家は介入しません。この結果、民間で信用取引の慣行が広まり、自由主義経済が形成されたのです。