・創業103年の伝統の技術で、「ヘバーデン リング」など医療分野にもチャレンジ
・結婚10周年を祝う「錫婚式(すずこんしき)」を企画し、鋳物の工場で錫婚式を開催
――なるほど。いやー、すごい。「錫婚式」とは何でしょうか?
能作:結婚10周年を祝う人前式です。
これが、現在問合せが殺到する大人気商品に成長しました。
娘の千春(現専務)が企画した錫婚式では、県内外からのお問合せが殺到し、有名芸能人のご家族にもお楽しみいただきました。
楽しいことを続けていくと、新しい情報や新しい出会いに恵まれ、社内が自然と活性化していきます。
そして、その新しい情報や出会いが、また別の「新しい仕事」を引き寄せる。その繰り返しが能作を成長させてきたのです。
新しい仕事はリスクの塊(かたまり)です。
正確な売上予測などできるはずがない。
数字(売上)を目標に置いたとたん、「新しい仕事」に消極的になってしまい、会社の成長を止めてしまうことになりかねません。
だからこそ、数字よりも楽しさを優先しています。
――うちも結婚式のときはお腹に子どもがいて、子どもたちにパパとママの結婚式を見せてあげられませんでした。
でも、10周年なら見せられる!この隠れた需要を見える化した功績は大きいですね。肌感覚としてすごい需要が見えます!素晴らしいですね。
能作:ありがとうございます。みなさんにいっぱい楽しんでほしいです。富山の本社の雰囲気を少しでも知りたい方は、第1回連載もご覧いただけたらと思います。
1958年、福井県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。大手新聞社のカメラマンを経て1984年、能作入社。未知なる鋳物現場で18年働く。2002年、株式会社能作代表取締役社長に就任。世界初の「錫100%」の鋳物製造を開始。2017年、13億円の売上のときに16億円を投資し本社屋を新設。2019年、年間12万人の見学者を記録。社長就任時と比較し、社員15倍、見学者数300倍、売上10倍、8年連続10%成長を、営業部なし、社員教育なしで達成。地域と共存共栄しながら利益を上げ続ける仕組みが話題となり、『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)など各種メディアで話題となる。これまで見たことがない世界初の錫100%の「曲がる食器」など、能作ならではの斬新な商品群が、大手百貨店や各界のデザイナーなどからも高く評価される。第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員会特別賞、第1回「三井ゴールデン匠賞」グランプリ、日本鋳造工学会 第1回Castings of the Yearなどを受賞。2016年、藍綬褒章受章。日本橋三越、パレスホテル東京、松屋銀座、コレド室町テラス、ジェイアール 名古屋タカシマヤ、阪急うめだ、大丸心斎橋、大丸神戸、福岡三越、博多阪急、マリエとやま、富山大和などに直営店(2019年9月現在)。1916年創業、従業員160名、国内13・海外3店舗(ニューヨーク、台湾、バンコク)。2019年9月、東京・日本橋に本社を除くと初の路面店(コレド室町テラス店、23坪)がオープン。新社屋は、日本サインデザイン大賞(経済産業大臣賞)、日本インテリアデザイナー協会AWARD大賞、Lighting Design Awards 2019 Workplace Project of the Year(イギリス)、DSA日本空間デザイン賞 銀賞(一般社団法人日本空間デザイン協会)、JCDデザインアワードBEST100(一般社団法人日本商環境デザイン協会)など数々のデザイン賞を受賞。デザイン業界からも注目を集めている。本書が初の著書。
【能作ホームページ】 www.nousaku.co.jp