だが、第2次安倍政権発足後に初めて公表された13年8月の試算では、経済成長率が高めのシナリオでは、17年度に1.9%に達する見通しだった。

 政府は、貿易自由化や働き方改革、コーポレートガバナンスの強化など幅広い分野で成長戦略を進めてはきたが、実際の潜在成長率は当初の期待通りに上がっていない。

 一方で、日本の労働生産性(就業者1人1時間当たりの実質GDP)の伸び率は主要先進国に見劣りしていないことに留意する必要がある。

 労働生産性の上昇率は18年までの20年間で年率1.1%と、米国の同1.6%は下回ったが、ドイツや英国、フランス、カナダ並みに上昇した。

 直近10年間では同0.8%に低下したが、日本を除くG7(主要7ヵ国)平均も同0.7%へ低下している。

 労働生産性の伸び悩みは「長期停滞論」も聞かれる主要先進国の共通課題だ。そういう中で、今後数年の間に日本の生産性上昇率だけが加速するのかどうかは不確実性が高い。

歳出抑制は実現するか
社会保障費増は止まらない

 2つ目はより重要で、今後の歳出の伸びが低く見積もられていることだ。

 図表1は中長期試算で示された国の一般会計における社会保障関係費をGDP比で見たものだが、ベースラインケースでは2020年代を通じておおむね横ばい、成長実現ケースでは明確に低下する見通しになっている。