消費税増税の影響緩和策として目玉の一つとされているのが、消費税分の一部をキャッシュレスのポイントで還元するというものだ。しかし、これには大きな問題がある。その本質と理由を解説する。(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)
消費税増税ポイント還元は
何が問題なのか
10月1日の消費税率の8%から10%への引き上げを目前に控え、駆け込み需要が一気に増えるかと思いきや限定的で、9月頭の段階で麻生太郎財務大臣をはじめ関係閣僚も増税前の大幅な駆け込み需要が生じていないことを認めている(駆け込みがないから反動減もない、などとも話しているようだ…)。
もっとも、その理由の一つとして増税対策を講じていることが挙げられており、そもそも消費が冷え込んでいるから駆け込み買いすらもできないとは考えられていないようだ(家計調査の結果を見ても、平成30年の平均で前年比〈季節調整値〉で実質1.0%の減少、直近の調査結果でも令和元年6月は前月比〈同〉で実質2.8%の減少、7月は前月比〈同〉で実質0.9%の減少である。なぜ消費の冷え込みという理由を考えないのか、不思議で仕方がないが、「不都合な真実」ということなのだろう)。