社会保障関係費はこのところGDP比で安定しており、「集中改革期間」(16~18年度)の実質的な増加額(社会保障の充実等を除いた増加額)を、高齢化による自然増分の1.5兆円程度に抑えるという「目安」に沿った予算編成が行われた。 

 こうしたことを踏まえると、ベースラインケースは、引き続き歳出抑制の取り組みが一定程度、行われることが暗に想定されたシナリオであり、成長実現ケースはそれを上回る改革が行われるシナリオといえる。

 しかし、成長実現ケースで描かれているように社会保障費を抑制することは容易ではない。

 18年5月に公表された内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」によると、成長実現ケース、ベースラインケースの経済前提のうえで、後発医薬品の普及促進や外来医療費の適正化、病床機能の再編などの歳出抑制などの計画が反映された場合でも、社会保障給付の公費負担はGDP比で緩やかに上昇する見込みだ(図表1)。

 また、中長期試算では、社会保障以外の分野でも歳出抑制的な想定がされている。

 つまり21年度以降の非社会保障費は、GDP成長率の高低とは無関係に、「物価上昇率並みに増加する(実質横ばい)」と想定されている。

 しかし、成長実現ケースのように、高成長の経済では実質賃金(≒労働生産性)上昇率も高いため、民間の賃金動向を反映する公務員人件費(雇用者報酬、17年度で29兆円)は、実質額で増加するだろう。

 こうした増加要因が見込まれる中で、社会保障以外の公共サービスや公共投資を実質額で増やさないためには、歳出の重点化や効率化などが現実には求められる。

PB黒字化は見通せず
公債残高GDP比は高止まりの見込み

 それでは、現実的な成長率などの経済前提と歳出の想定を置けば、将来の財政はどのような姿になるだろうか。

 大和総研のマクロモデルを使って推計すると、PBは25年度でGDP比▲2.5%程度と見込まれ、中長期試算のベースラインケース(同▲1.2%)より赤字幅が拡大する。

 この推計は、今後10年の実質GDPとCPIがいずれも年率1%前後で推移するというベースラインケースに近い経済前提の下、社会保障費は内閣官房等の将来推計のようにGDP比で緩やかに上昇し、非社会保障費はGDP比でおおむね横ばいと、現実的な想定をしたものだ。