――筆者のジリアン・ケイ・メルチャーはWSJ論説ページのライター
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中国の習近平国家主席は1日の建国記念日(国慶節)が、共産党政権誕生から70周年を祝う日になることを望んでいた。しかし実際には、香港に対する暴力がエスカレートした日となった。 警察が初めて、デモ参加者に実弾を放ったのだ。銃撃を受けた18歳の学生は胸部を負傷した。
6月から香港を混乱させているデモで国慶節が何らかの節目になるというのは、何カ月も前から言われていた。当局が10月1日までにデモを鎮めようとしていた一方で、参加者はその日まで活動を維持しようと力を尽くし、実際にそうなった。1日の銃撃はデモを勢いづかせるだろう。そして、中国政府にはこの政治危機に対する明確な解決策がない。
警察の広報担当者は1日夜の会見動画で、デモ参加者が警官隊を攻撃したため、警官の1人が「自らの命と同僚の命を守るために」発砲したと主張。そのうえで「警察はこの出来事で誰かが負傷するのを望んでいない。胸が張り裂ける思いだ」と付け加えた。