「売れない」――このことに苦労しているセールスパーソンは数えきれません。その一方で、確実に売上を伸ばし、常に上位の成績を誇っている人がいます。トップセールスと呼ばれる人たちです。営業に関連する本の多くは、著者の実績に紐づいた方法ですが、『3万5000人を指導してわかった質問型営業でトップセールスになる絶対法則』は、「トップセールスの共通点」を見出し、「トップセールスになる絶対法則」を伝えるものです。属人的な内容を「誰でも使える技術」としてまとめました。

本当にすごい人たちはいったい何をやっているのか? 極力わかりやすくお伝えすることに成功しました。AIやサブスクリプションなど、セールスパーソンを介さない営業手法は開発されていますが、セールスパーソンの役割は減るどころか、ますます重要性を増しています。ぜひ、最強の営業力を身につけて、営業を「楽しくうれしく感動的なもの」にしていきましょう。今回、お客様の「見極め」について紹介します。

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自分を売るとは、
「どこまでもお客様の役に立つ」という姿勢を売ること

 お客様を見極めるうちの一つとして、「向上心のある人。プラス思考の人」を狙います。

 向上心のある人は、できる人に魅かれる傾向があります。理由として、上を目指しているのはもちろん、「この人、何か持っていそうだな」という嗅覚が働き、「この人の話を聞きたい」と思うからです。事実、そのように見られるのがトップセールスです。

 私から見るトップセールスの特徴は、「堂々としている」「下手にでない」「人の話をちゃんと聞く」「共感する」です。

 なかでも「こんなにわかってくれる人はいない」と思わせるほどの「共感力」に長けた人間は、トップセールスの資質を持っています。

 自分の気持ちをわかってくれる人、自分の意見を受け入れてくれる人です。

 トップセールスは食らいつくように聞き入ります。うなずき方が並大抵のものではありません。大げさすぎるほど、「なるほど!」と、染み入るように聞くのです。

 そんなトップセールスに触れた人は、「こんなに聞いてくれる人はいない」と心酔するのです。

 たとえるなら、お笑い芸人の南海キャンディーズ・山里亮太さん。私が思うに、「声だけで勝負できている」人です。そして、喜怒哀楽の感情をちゃんと表現できるので、言葉に気持ちが乗っかっているのです。

 相手の話を受けて、きちんと反応する、これが大事です。

 その一方で、「この商品の話をぜひ聞いてほしい」「今までにない素晴らしい商品ができたのです」などと言っているセールスパーソンがいます。お客様に対して、商品の特徴で関心を高め、こちらに引き付けようとするのです。

「引き付ける」のではなく、「引き寄せる」のです。

「今までにない商品なので、話を聞いてもらえば、きっとわかってもらえる」とセールスパーソンは思っているのでしょう。たとえ真実だとしても、お客様からすれば、それはセールストークであり、残念ながら物売りが話しているようにしか聞こえないのです。私が指導した受講生の中に、大手保険メーカーでトップセールスになった人がいます。彼は大手車メーカーの中古車販売でもナンバーワンの実績を誇りました。

 お客様もセールスパーソンも、「同じ商品なら誰から買おうと一緒」と思っていることでしょう。彼は違います。「私から車を買うほうが、お客様が幸せになる」と信じているのです。

 ある日、スーツ姿で車を買いに来た人がいました。

「どのようなお車をお探しですか?」―たいていの人はこの一言からトークを始めるでしょう。次に、いろいろな車種を紹介するのが一般的です。けれども彼は、そうしません。

「なぜ、その車種なのか?」「どのような目的なのか?」「予算は?」などと、お客様に聞いていきます。そうすることで、「大事な取引先のために車を探しに来た」というお客様の目的がわかりました。

 商品の数が多いと、お客様を迷わすことになります。そこで、目の前に車が並んでいるにもかかわらず、聞くことから始めたのです。ヒアリングです。ちなみに、スーツ姿で車を買いに来たお客様は高飛車な態度で、強気でした。普通のセールスパーソンなら、おどおどしてしまうところ、対等な立場で「聞く」に徹するのです。

「なぜ、その車種なんですか?」
「できれば、女性が喜ぶような車を探している」
「なぜ、女性が喜ぶような車を探しているのですか?」
「大事な取引先のお嬢さんの車を探している」
なるほど、そういうことなんですね。ご予算はどれくらいですか?」
「○○万円で」

 大事なポイントはわかりましたか? 
「なるほど、そういうことなんですね」――セールスパーソンが腑に落ちること、そして、共感の意を示すことが重要です。

 お客様は「そこまで聞いてくれるのか」と感心し、この人に任せようと思うのです。これは、目の前のセールスパーソンがお客様の望みを見極めようとしているのを感じたことに起因します。

 そして、お客様から下記のような言葉が出てきたら、もう見極めは終わっています。

「私の望んでいることをわかってくれましたか?」
「私の探しているものをわかってくれましたか?」

 お客様は求めている商品を理解してもらったと感じているのです。

 トップセールスになりたいなら、この姿勢は非常に重要です。

 よく「商品を売る前に自分を売れ」という言葉を聞きます。自分を売るとは、「どこまでもお客様の役に立つ」という姿勢を売ることです。

 見極めには、「共感」と「質問」です。
「私のことをちゃんと考えてくれている。何を言うかではなく、どうわかってくれたかがすべて」。お客様がそう感じたときに、真剣に質問に答えてくれます。

 セールスパーソンは「なるほど、そういうことなんですね」と言います。すると、お客様から先ほどの「私の望んでいることをわかってくれましたか?」「私の探しているものをわかってくれましたか?」という言葉が出てきます。

 あとは、「私に任せてもらえませんか?」と伝えれば、お客様は商品で決めるのではなく、この人に任せようとするのです。

今日の格言

トップセールスは
「なるほど、そういうことなんですね」
と共感し、お客様の信頼を得る