Gさんくらいのレベルまでいくと極端だが、健康を志向したりファストフードを避けたりする気持ちはそもそも気分で決定される。各チェーンのバーガーに含まれるカロリーと添加物を完全に把握して、それぞれ比較しつつ「昨日は○カロリー消費したからあそこのバーガーを0.7個分食べよう」などと厳密に管理している人はおそらく稀(まれ)である。

 健康志向に完璧主義を適用すると精査すべき情報が多くなり過ぎてしまうので、ほどほどなところで気分に頼り、みな力を抜きつつ取り組んでいるわけである。

 少年の頃からお世話になったファストフードといちいち距離感を考えなければならない年齢に達してしまったこと自体は切ないかもしれない。それに中年の保守的な考えは、若い世代から見れば鬱陶(うっとう)しいものでもある。

 しかしその保守性は、必ずしもネガティブなものではない。年を重ねたからこそ得られた知恵と老練さであり、これらは立派な財産である。

 そうしたこと全てを踏まえ、賢く頼もしき中年として成長した今もなお、時折痛烈に体がファストフードを求めるのは何故(なにゆえ)か。

 そんなことを考えているうちにマクドナルドのポテトを口いっぱいに頬張ってシャクシャク音をさせたい衝動に駆られたが、「どうしよう、今日これから食べても胃は平気かな、カロリーは大丈夫かな」などと逡巡(しゅんじゅん)する……これこそがおそらく多くの中年男性が共有できる愛すべき中年の、哀愁漂う、あるべき姿である。