理論的に考えると、文政権は民間の理解と協力を得つつ、規制の緩和などを進める必要がある。それが、ヒト・モノ・カネの経営資源が成長期待の高い分野に再配分されやすい状況の整備には欠かせない。

 すでに整備が一巡したインフラ投資などよりも、新しい産業育成のために財政出動が用いられるのであれば、経済の効率性は高まり波及需要の創出効果も期待できる。それがないままに財政出動を行ったとしても、効果は一時的なものにとどまるだろう。

 問題は、文大統領にとって、改革を進めることがかなり難しいと考えられることだ。

 文氏の目線は、経済の安定を目指すことよりも、「自らの立場を守ること」に向かっているように思えてならない。特に、チョ・グク法相への捜査を食い止めるべく、文氏は検察改革を優先している。文氏は国民の生活の安定よりも、保身を優先してしまっているように見える。

 韓国経済界がこの状況に一段の憂慮を深めていることは想像に難くない。その一方、韓国の世論にとって保守派政治への抵抗感も根強い。

 当面、韓国では、政治の混迷感が高まり、それに応じて経済の停滞懸念もさらに高まってしまうという負の連鎖が続きそうだ。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)