ただし、仕事依存症の人々と一緒に職場に居残るメンバーのなかには、「職場依存症」の人も交じっている。彼らが執着するのは仕事そのものではなく、あくまで会社や職場、そして顧客だ。

「上司や同僚より先に帰ると『ヤル気のないやつ』と思われるのでは」「深夜、メールに返信すれば頑張っていることが伝わるだろう」などと同調、忖度して、仕事からなかなか離れることができない。渡辺氏によれば、職場依存症からいつのまにか仕事依存症になってしまうケースもあるため、要注意だ。

パートナーとの破局、心筋梗塞、うつ…
働きすぎの「顛末」とは

 生産性や時間効率を重視する時代になったとはいえ、持ち帰り残業、サービス残業を重ねて結果を出せば、評価する会社はまだ多いことだろう。だが、社会的に認められ、成功すればするほど、深刻化するリスクに気づきにくくなる。

 1つは人間関係上のリスクだ。

「仕事依存の人はそもそも家で過ごす時間がほとんどないし、家族と過ごしていても、仕事のことで頭がいっぱいで心ここにあらずという状態。当然、お互いの間に距離ができてしまいます。家にいても居心地が悪いので、なおさら仕事に逃避してしまうという悪循環が生まれやすくなります」

 恋人ができても、常に仕事漬け状態なので、相手は不満や不信感を募らせる。けんかが絶えず、結局別れを繰り返すようになる。その結果、「恋愛なんて面倒くさい」「仕事だけは自分を裏切らないから」と、ますます深夜の作業にのめりこんでいくことになりがちだ。

 また仕事依存症の人は、職場でも孤立しがちな傾向がある。同僚をライバル視したり、部下に「自分と同じレベルの仕事をしてみろ」と言わんばかりの態度をとったりするからである。さらに、自分自身の深い疲労に気づいていないので、致命的なミスをし、信頼を失ってしまう可能性もあると渡辺氏は指摘する。