なぜ国籍を問わないのかといえば、大英帝国の歴史が関係している。

「日本は強豪国じゃないから、
助っ人外国人に頼っている」というのは誤解

 ラグビーは19世紀にイングランドで生まれ、やがて近隣のスコットランド、ウェールズ、アイルランドの4ヵ国でテストマッチが行われるようになった。これら隣り合う国々では住民の往来が盛んだったうえに、ラグビーが普及していった植民地の間でも人々がひんぱんに行き来していた。国籍を重視しない考えはそんな歴史的背景から生まれてきたものだ。

 ちなみに「日本は強豪国じゃないから、助っ人外国人に頼っている」というのは誤解だ。2015年のW杯出場国の中で外国出身の選手をもっとも多く起用した国はサモアで、次いでウェールズ、スコットランド、トンガと続く。いずれも強豪国だ。実は日本は20ヵ国中、5番目に過ぎない。

 しかも外国人選手は決して「助っ人」ではない。彼らはれっきとした日本代表の一員である。

『国境を越えたスクラム』を読めばそのことが実感できるだろう。この本は、外国出身の選手たちがどんな思いで代表として戦ってきたかを教えてくれる。ノフォムリ、ホポイ、ラトゥなど往年のファンには懐かしい選手から現在の代表メンバーまで、多くの外国出身選手が日本についてその思いを語っている。

 代表に選ばれた海外出身選手は桜のジャージに特別なプライドを持っている。彼らを支えているのは、自分をサポートしてくれた人たちのために戦いたいという強い気持ちだ。

 リーチ マイケルが高校2年生の時、ニュージランドの実家が火事になってしまった。後に彼は、高校の監督が関係者に呼びかけて義援金を集め、何も言わずに実家に送ってくれていたことを知る。感動したリーチは「その恩はラグビーで返すしかない。何があっても、日本以外の国の代表になるわけにはいかないと思いました」と語っている。ニュージランドやフィジーの代表になる資格があったにもかかわらず、彼は日本を選んだのだ。