盛り上がるラグビーW杯日本大会
スポーツから考える新しい組織
2019年9月から開催されているラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が、空前の盛り上がりを見せている。盛り上がりの背景には、日本代表の活躍はもちろんのこと、巨漢の男たちによるボディー・コンタクトの激しさや、ボールをつなぐスピーディーな躍動感といったラグビーの魅力が、感動や興奮を呼び起こす点にあるのだろう。
ラグビー競技で興味深いのは、出場する選手の多様性だ。各チームは、それぞれの国・地域を代表して戦っているものの、メンバーの出身地や国籍はバラバラである。これは、日本に限ったことではなく、世界最強のニュージーランドですら、異なる国籍のメンバーで構成されている。
体型もポジションによって異なる。15人の先発メンバーの中には、身長200cm、体重100kgの選手もいれば、160cm台の選手もいる。大きな体で走るのが遅い選手もいれば、50m走ならウサイン・ボルトよりも速い韋駄天のような選手もいる。肌や瞳の色、体型がバラバラの15人が、1つのチームとして同じ国・地域の代表ジャージを着て戦うのがラグビーである。
日本のリーチ・マイケル主将が「このチームにはダイバーシティー(多様性)がある。色々な背景を持った選手が、お互いに学べる。日本の未来を先取りしている」と語っているように、ラグビーW杯に出場している各チームは、未来を先取りした組織マネジメントのプラクティスを実践しているように思える。以下では、ラグビーという競技から、未来の組織について考察してみよう。