
大前和徳
暗号資産、NFT、分散型金融、メタバース、分散型自律組織(DAO)などのキーワードを統合する概念がWeb3.0だ。2022年は、Web3.0が一層の進化を遂げる年となる。国内外のウェブ技術に精通する筆者が、Web3.0の基礎を整理し、Web3.0における2つの本質を明快に解説する。

新しいシェアサービスの一つにアートがある。ブロックチェーンやNFT(ブロックチェーン技術を活用した非代替性トークン)の普及によって、アート作品をシェア(共有)することが可能になった。本来、アート作品を所有するには多額の資金が必要だが、シェアで少額での部分所有も可能だ。アートはシェアリングエコノミーにおいて相性が良い理由や、アート投資のメリット、NFTによる実物アート所有の可能性を明快に解説する。

米決済大手のPayPal Holdings(ペイパル)は、後払い決済サービスのPaidyを約27億ドル(3000億円)で買収することを公表した。Paidyは、後払い決済サービスを提供するフィンテックベンチャーだが、時価総額10億ドルを超えるユニコーン企業でもある。Paidy創業時に副社長としてカナダ人創業者とともに苦労をした筆者が、Paidyが成功する軌跡を振り返るとともに、アップルとの意外な共通点を紹介する。

先の東京オリンピックでの観戦を通じて、私たちは世界ときちんと繋がり、世界の人たちと感動を共有した。しかし一方でコロナ禍は、各国の違いをまざまざと浮き彫りにしている。私たちの世界はフラットというよりもデコボコ(凸凹)だ。1990年以降のグローバリゼーションの流れを整理し、フラット化する世界の現状を確認するとともに、多民族国家となったイギリスからヒントを得た「相手の靴を履いてみる」能力の必要性を提案する。

海外を中心に景気拡大の力強いニュースが増えている。東京五輪の開催に気を取られ、五輪後の未来に目を向けられない日本をよそに、ワクチン接種が順調に進んだ欧米は、ワクチン後の世界がどうなるかという近未来の姿を私たちに見せている。欧米中の景気回復の様子を具体例とともに紹介するとともに、ワクチン接種が遅れ、オリンピック開催直前の今も第4波の感染拡大によって緊急事態宣言が発出されている日本に住む私たちが見据えるべき「咆哮する20年代」に向き合う必要性を熱く語る。

コロナ禍の渡航制限は続いているが、アメリカではハワイだけでなくコロラド、テキサス、フロリダなどでも旅行者が増えている。ワクチン接種が進めば、「日常」の再開が期待されるが、次の日常はコロナ前と違う。日本から海外に移住する動きを紹介しながら、コロナ克服後に現れるであろう新しいノマド像を考える。

コロナ禍で、これまでの企業活動を見直し、多様なステークホルダーへの配慮を重視するESGやSDGsの流れは不可逆だ。しかし、目先の利益に囚われて不正に関わったり、適切な業務運営から逸脱したりした結果、足元をすくわれた出来事も散見される。ソーシャルレンディング業界最大手の杜撰な経営や、米ファミリーオフィスの大規模損失を整理し、企業経営に「正しい」基準のあり方を考える。

フランスの食品大手、ダノンのファベールCEOが取締役会で退任した。モノ言う株主であるアクティビストファンドが、業績不振を理由に退任を迫ったからだ。ファベール元CEOはESG重視の経営を提唱する世界的なオピニオン・リーダーだったことから、ESG/SDGs経営を重視し始めた多くの日本企業にとっても、他人事ではない。フィンテックを中心に起業家として活躍する筆者が、ESG、SDGs経営の潮流や今後の課題を俯瞰する。

ソーシャルレンディングは、投資家がオンラインのプラットフォームを通じて貸出案件に投資する金融サービスだ。配当利回りは2~5%程度と比較的高く、個人投資家の間で人気を博している。しかしソーシャルレンディングには、貸し倒れのリスクがあり、場合によっては投資元本が全て損失となるリスクもある。ソーシャルレンディング業界の黎明期から経営者として携わってきた筆者が、その歴史や最近の不祥事を説明するとともに、業界に潜むビジネスモデルの課題を解説する。

テレビゲームの機器やソフトを売るゲームストップ社の株価は、1月28日に過去最安値から1万%以上も上昇。空売りをしていた機関投資家は多額の損失を計上した。ゲームストップ株上昇は、アメリカの個人投資家がSNSを通じて同社株の買いを推奨したのがきっかけだ。しかし、個人投資家から人気のあるフィンテック証券のロビンフッドは、同社株を突然、取引停止に。個人投資家も多額の損失を抱えることになった。ロビンフッドが取引を停止した理由を解説するとともに、ゲームストップ株の乱高下から得られる4つの示唆を紹介する。

2021年は悲観的な見通しが溢れている。しかし、新型コロナのワクチン接種が始まり、世界はウイルスの悪影響を取り除く段階に入ったように思われる。昨年に感じられた「何が起こるか分からない」という不透明感は、大きく和らいだ。2021年を占うきっかけとして、占星術と干支の2つの見方から、2021年は大きな変化が生まれる可能性を指摘するとともに、私たちに求められるマインドを紹介する。

2020年も残りわずかとなった。昨年の今頃は、まさか新型コロナウイルスが世界に蔓延し、全世界の人々の日常を根こそぎ変え、親しい人の命すら奪うことになるとは、誰も予測できなかっただろう。しかし、当たり前であったことが当たり前でなくなってしまった一方で、新しいものも得られたはずだ。失ったものを嘆くばかりでなく、得たものに目を向けてみるべきかもしれない。2021年のあるべき心構えを考える。

中国フィンテックの巨人であるアント・グループ(アント)は、4兆円近い公募増資を実施し、上場時の時価総額は30兆円を超えるとみられていたが、IPO予定日の2日前に中止に追い込まれた。表面的には、IPOは「延期」と言われているが、実態的には完全な「ゼロからの仕切り直し」となるだろう。アントIPOの中止を勧告した中国政府の意向を推察するとともに、IPOを目指す日本のフィンテック企業における優先順位について整理する。

菅首相の「目玉政策」の1つは地銀再編。しかし日本の銀行の数は、海外主要国と比べても多くなく、銀行を減らせば、日本の金融業界には健全な競争環境が整えられるとは言い切れない。菅首相の「地銀が多すぎる」というメッセージは地銀の危機感を煽るものであり、本当に問題視していることは別にある。銀行の貸し出しシェアと地域経済の成長率との関係から、地銀と地域経済の関係を整理する。国からの再編圧力を回避するために、地銀が今とるべき方策とは。

コロナ対応では批判を浴びたものの、安倍首相が総理大臣として行った内閣主導、規制緩和の方向性は正しかった。安倍首相の辞任は、新型コロナとアメリカ大統領選挙に加わる形で、スタートアップやベンチャー企業の不確実性を高めるだろう。不確実性がさらに高まった環境のもと、今後目にするであろうスタートアップやベンチャー企業のリスクとチャンスを整理する。

金融業界は、フィンテックで変革が進んでいるとのイメージがあるかもしれないが、イノベーションという角度から他業界と比較してみると、金融業界は、運輸、農業、エネルギーより下位にある。金融業は高い参入障壁もあって競争は限定的であり、イノベーションへの意識も低い。金融業界にイノベーションが不足する理由を独自視点で整理する。

2020年の前半は、100年ぶりのパンデミック、大恐慌以来の景気後退、地球規模での行動制限など、誰も想定できない状況が続いた。私たちはこれまで何度も「想定外」なことに遭遇し、将来の不確実性に対して備えをしてきたが、それでもまた新たな「想定外」に遭遇する。こんな「想定外」が続くコロナ時代に私たちができることとして、起業家的なアプローチとエフェクチュエーションの5原則を紹介する。

新型コロナの感染拡大を機に、無駄や非効率性を内包しながら成長してきたこれまでの経済を、見直す動きが出ている。不確実性が高まる中、企業や個人は無駄なお金を使わず、使うとしても確実に成果が見極められるものに限定していくだろう。しかし、そうした行動は別の意味でリスクが高い。スティーブ・ジョブズやバラク・オバマといった著名人のスピーチなどから、コロナ禍の「新しい思考様式」を考える。

新型コロナウィルスの感染拡大で社会は大きく変わった。今まで当たり前だと思っていた前提条件が通用しなくなり、全く新しい常識=ニューノーマルに適応しなければならない。この人類の危機も、未来からみると、20世紀との決別を決定づけた出来事として記憶されるかもしれない。そしてその変化のマグニチュードは、100年前よりもはるかに世界は密接につながっているがゆえに、全地球レベルで同時多発的に起こる「決別」となるはずである。私たちは何と決別して、どのような新常態と共生していくことになるかを考察する。

新型コロナ問題で客足が遠のき苦戦している国内の観光・飲食・運輸業などの事業者に対して、フィンテック事業者は支援策を次々と発表している。一方でメガバンクの動きは消極的で、地域金融機関ですら、保証協会制度の範囲内での対応にとどまる。フィンテックの時代に、新たな連携などで、難局克服に貢献できる道があるのではないか。
