1998年か1999年から試みが始まり、2003年あたりから全面実施された。退耕還林に参加した農家に対しては、食糧、生活費、造林用の苗木代の補助が行われ、その生活の心配を解消するような措置が講じられている。わずか10年間で3000万ヘクタールの退耕還林や新規造林などが行われた。

 2000年に私が陝西省の北部にある延安を訪れたとき、ちょうど一部の地域では、その退耕還林運動に取り込み始めたところだった。苗木を植えた山への放牧・採草などはすべて禁止するという、「封山育林」措置も講じられていた。

 20年近く経った今は、退耕還林の対象になった山にも緑が戻り、黄土高原にもうっすら緑になった山脈が現れた。前述した雨前線の移動ラインの変動は、西北地域の生態に一層大きな変化を劇的にもたらしたのだ。

信じられない
スピードで進んでいる

 しかし、前述の気候関連の情報によれば、気候の変化はもっと私たちが信じられないほどの規模とスピードで進んでいるそうだ。中国の雨前線の臨界点も大きな範囲でゆっくり移動し続けている。予測によると、これから40年間の気候は、おそらく唐の時代(618年~907年)ではなく、西周時代(紀元前1100年頃~紀元前771年)のような、温暖湿潤な気候に戻るだろうということだ。

 観察資料によれば、新疆ウイグル自治区のハミ地区の植生も回復し始めている。気候の専門家グループは今年、中国全域の約半分に相当する国土で植生観察のために駆け回り、その視察を最近終えたところだ。

 タリム盆地が1つの顕著な例になっている。タリム盆地はかつて中国の高温少雨現象の最も深刻な地区で、以前は雨を降らせる雲が延々と続く砂漠地帯をまったく越えることができなかった。しかし、今では3年連続でタリム盆地全体をカバーできるくらいの降雨量がある。