退職代行なんて
違法行為じゃないのか?

「『AさんとBさんが退職する』だって?どういうことですか?」

 翌週月曜日の朝。退職代行会社からの電話を受けたE総務部長は、驚きのあまり大声を上げた。電話を切ると部下が「部長、どうしたんですか?」と聞いてきたので、通話の一部始終を説明した。すると「それは詐欺かイタズラ電話か?」「もしかして2人は事件に巻き込まれたのかも……」など、たちまち総務部内は大パニックになった。

 慌てたE総務部長は、とにかく事の真偽を確かめようとAとBに電話やメールを入れ続けたが、繋がらない。そこでCチーム長を呼び事情を聞いた。すると、

「B君からは、1ヵ月前から再三退職希望の申し出がありました。しかし辞められては困るので保留状態でした。A君の件は初耳ですが、B君を慕っていたので道連れ退職でしょう」という返事が返ってきた。

 そこで初めて、2人の退職は真実だとわかった。しかし、退職代行会社に依頼するとは前例がなく、対処方法がわからない。困ったE総務部長はF社労士に電話をかけ、「相談したいことがあるので、今日の午後、会社に来てほしい」と依頼した。

 午後、やってきたF社労士にE総務部長は混乱した様子で、AとBの退職の経緯を説明した。そして、話し終えるとF社労士に尋ねた。

「2人は退職代行会社に依頼して退職を申し出たが、このサービスを使うことは法律違反でしょう?」

「退職者の意思を会社に伝達するだけなら、違法ではありません」

 E総務部長は意外そうな表情を浮かべながら、質問を続けた。

「わが社の就業規則では、会社を退職する際は退職の1ヵ月前までに申し出ることと決まっています。これはどう解釈するのですか?」