中途の即戦力採用で入社した人材が、仕事の進め方を巡り既存社員とトラブルに…(写真はイメージです)

上からの評価を気にして保身に走り、部下に無理難題を押し付ける。上司の立場を悪用して女性社員を口説こうとする――。そんな管理職を野放しにしておくと、気づかないうちに職場の士気はどんどん下がり、業績に深刻な影響が出かねない。モラルが崩壊した管理職をどう見抜き、律するべきか。中途採用された課長が起こしたパワハラ、セクハラ騒動を紹介したい。(特定社会保険労務士  石川弘子)

 大手専門商社で10年以上経理を担当、課長経験もあるA田が、同業の中小企業の経理職に即戦力で管理職採用された。引き継ぎも終わり、A田と20代の社員B美との2名体制で、新たなスタートを切ったのだが……。

 本題に入っていく前に、まずは御気楽商事の概要と登場人物を簡単にお伝えする。

御気楽商事概要
工作機械を扱う専門商社。社員は約30名。経理は今まで勤続25年のベテラン社員と勤続5年の女性社員B美で行っていた。
登場人物
A田:同業の大手で経理を10年以上、課長職も経験していたという40代半ばの男性。大柄で、見た目は大人しそう。真面目で融通が利かなそうな感じ。プライドが高く、自分のミスを隠したいタイプ。独身。
B美:勤続5年の20代後半の女性社員。仕事はテキパキとしていて、はっきり物を言うタイプ。愛社精神は高い。
社長:御気楽商事代表。50代男性。父親から受け継いだ会社をさらに発展させようと、様々な改革に取り組んでいる。
D子:総務課の30代女性社員。穏やかで、優しい性格から、皆に慕われている。夫と小学生の子どもと3人暮らし。