20代社員の着任初日に業者から「退職代行」電話、どうする工場長!?「退職代行」ビジネスが話題だが、もし電話で金銭的な交渉ごとを持ち掛けられても、安易に応じてはいけない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

20代半ばの社員がB工場からA工場に異動となった初日に、退職代行会社を通じて「本日付けで退職」を連絡してきた。工場長は退職理由を把握できず混乱、さらに退職代行会社の担当は工場長に「有給の買い取り」を要求してきた。工場長は退職代行会社にどう対応するのか?(特定社会保険労務士 石川弘子)

W社概要
30年前に創業した部品製造会社。関東圏内に工場が2つあり、労務管理はコンプライアンスを遵守し、有給や育児休業の取得率も比較的高い。
登場人物
鈴木工場長:40代後半の男性。佐藤工場長の元部下で、今期からA工場の運営を任されている。真面目で几帳面な性格のため、会社からの信頼は厚い。
小林:入社1年目の20代半ばの男性社員。神経質で人見知りしやすい性格。要領が悪く、仕事はできないものの、上司である佐藤工場長がB工場で根気よく教育してきた。今度A工場に異動となったが……。
佐藤工場長:50代前半の男性。B工場の運営を担当。面倒見が良く、部下からも慕われている。
吉田:退職代行会社のスタッフ。

退職代行会社から突然の連絡!
動揺する工場長

「今日からそちらの工場に異動してくる小林さんが本日付けで退職します」

 A工場にこんな内容の電話が入った。電話の相手は、退職代行会社の吉田と名乗る男だった。責任者の鈴木工場長は、退職代行会社からの突然の連絡に驚きを隠せない。さらに吉田は続けた。

「小林さんは、そちらにはもう出勤しません。離職票の手続きをお願いします。それから、小林さん本人より会社から直接連絡しないよう言付けを頼まれております。本人の希望ですのでよろしくお願いします」