日中政府のスピードの
違いはどこから?

 中国では、災害の現場には即座に人民解放軍が投入され、復旧は速い。この初動のスピード感の違いはどこに由来するのだろうか。家族が上海市政府に勤務するという李敏氏(仮名)は、次のように説明する。

「被災地に国の首相が真っ先に乗り込むのは、地方政府の首長に『事態が長引けば、お前は引責辞任だ』という無言のプレッシャーを与えるためです。結果責任を問われる中国では、有事の初動の遅れでその先の政治生命が絶たれることもあり、地方政府の首長も危機感を高めずにはいられないのです」

 中国の政治は、地方からの“たたき上げ”が中央に入るという、完全なピラミッド型を成す。また、国と地方が一体化する中国で、地方政府のトップは中央政府からの任命を受けて配属されるが、そこには、『下』は『上』に絶対服従という構造が潜在する。自然災害時の復旧が速いのは、言い換えれば「自身の出世がかかっているから」ともいえる。

 一方、上海に駐在経験を持つ西日本の某市職員は、日中間の政治体制の差異は致し方ないとしながらも、日本の役所の体質をこう語っている。

「もとより、日本は縦割り行政であり、地方分権を進める中で責任の所在も曖昧となり、初動対応は遅れがちです。災害からの復旧を急ぐために『みんなが全力で当たれ』とトップの上意下達があれば別ですが、残念ながら、今の日本の役所にはそれがありません。また、うちの役所について言えば、『隣の部署は大変そうだ』という程度で、職員全体が被災地における現場活動に高い関心を向けてはいません。こうしたことが、全体のスピード感を落とす要因にもなっているのではないでしょうか」