姫野和樹
アイルランド戦で突進する姫野和樹。姫野の「ジャッカル」成功が間違いなく南アフリカ戦勝利のカギになる Photo:JIJI

空前の盛り上がりを見せているラグビーワールドカップで快進撃を演じ、9度目の挑戦にして悲願のベスト8進出を成就させた日本代表が20日19時15分、東京スタジアムでキックオフを迎える準々決勝で、2度の優勝を誇る南アフリカ代表と対峙する。前回イングランド大会で世紀の大金星をもぎ取りながら、今大会の開幕直前に行われたテストマッチでは完敗を喫する返り討ちにあった難敵を、どのようにして攻略すればいいのか。日本にとって未知の領域となる決勝トーナメントの戦いで注目すべき、ベスト4進出へとつながる3つのプレーに迫った。(ノンフィクションライター 藤江直人)

南アフリカの脅威は
激しく獰猛なディフェンス

 負けた瞬間に大会を去る決勝トーナメントに突入すれば、もはや逃げも隠れもしない。通常ならば2日前に発表される先発15人を含めた登録メンバー23人を、南アフリカ代表のヨハン・エラスムス・ヘッドコーチは、日本代表との準々決勝を3日後に控えた17日にあえて発表した。

 イタリア代表をノートライに封じ込め、49-3のスコアで圧勝した4日の予選プールB第3戦とまったく変わらない先発陣とリザーブ陣。右ウイングにはイタリア戦で負傷退場し、8日のカナダ代表戦を欠場していた世界屈指の快足ウイング、チェスリン・コルビも満を持して復帰する。

 9月6日に行われた大会前最後のテストマッチで、日本は7-41で南アフリカに完敗を喫している。右ウイングのコルビに2トライを、左ウイングのマカゾレ・マピンピには3トライをそれぞれ決められたが、準々決勝でも先発してくるウイングコンビだけが南アフリカの脅威ではない。

 南アフリカの伝統は激しく、獰猛なディフェンスにある。対戦相手を畏怖させてきたディフェンスを体現する8人のフォワード陣の平均サイズは、日本戦では身長約194cm、体重約115kgに達する。日本も外国出身選手を中心に大型化が図られてきたが、南アフリカの8人は日本をはるかに凌駕する。

 しかもラインアウトを中心とした空中戦を担うロックには、ともに身長204cmのエベン・エツベスとルード・デヤハーがそびえ立つ。地上戦に加えて空中戦でも日本とのボール争奪戦を制し、決定力の高い両ウイングへいい形で展開していく青写真が伝わってくる。

 さらに、リザーブの8人のうち、実に6人をフォワードが占める。スタミナの温存など考えることなく日本を蹂躙し続け、体力が消耗すればフレッシュなフォワード陣を次々と投入する。相手の体力を根こそぎ奪い取りながら、予選プール全体で最多の185得点、27トライをあげてきた。ワールドカップで2度の優勝を誇る伝統国が、牙をむきだしにして日本にもフィジカル戦を挑んでくる。