露骨に序列をつけるメガバンクの
悪しき“学歴人事”の実例とは?

 東大卒ならいきなり出世コースとなる日比谷支店や麹町支店といった都心の支店に配属になり、2年経ったら本店へ移動する。
 これが早稲田・慶応大卒なら、まずは山手線沿線の渋谷支店や恵比寿支店に配属となり、2年経ってから主力支店に移動、本店に入るのは東大卒の2年後(大卒4年後)となる。

 その他の大学なら都内でも郊外の立川支店や、地方の浜松支店などに配属され、その2年後に山手線沿線の支店へ、主力支店や本店へ移動になるのは、早くても入行後7年目からだ。
 これが能力とは関係のない、悪しき“学歴人事”の実例である。

 旧来の3本柱が消えてなくなると、身分がある程度保証されていたサラリーマン社会は崩壊してしまう。
 その代わりに台頭するのが、ホワイトカラーである。

 ホワイトカラーには身分保証はない。
 そこそこの大学で学び、新卒で入ったとしても、会社に貢献できなかったら昇進はないし、サラリーも上がらない。
 居場所がなくなって、いずれ居づらくなって会社を出ていく他なくなる。

 ホワイトカラーの武器は、付加価値をつける能力である。
 新しいアイデアや創造性で付加価値を高めて、会社に貢献できる人しか残れなくなる。

 こうした変化は一時的な不況対策でもなければ、雇用調整でもない。
 日本企業、もっというなら、日本経済と日本的経営が新しい時代の変化に真正面から向き合い、変わろうとしている姿勢の表れに他ならない。

 ホワイトカラーという言葉はあまり聞かれなくなったが、付加価値をつけられる人材しか生き残れないという事実は変わりがない。

 本書の趣旨に沿って言うなら、超一流の人材とは、深い教養と洞察力で付加価値を創造できる存在なのだ。