AI(人工知能)はディープラーニング(深層学習)という技術で進化してきた。
これは人間の学習法を真似したものであり、読書そのものである。
だから読書を習慣にすると、ディープラーニングを繰り返したAIが賢くなるように、人間も二流から一流へ、そして一流から超一流へと自らを成長させられる。
AI時代には、これまで以上に人間らしさが重視される。
それがAIには逆立ちしても出せない素養だからだ。
読書は人間についての理解を深めるから、AI全盛時代をサバイブしようとするビジネスパーソンにとって、大きな差別化のポイントになる。
『できる人の読書術』は、読書を未来志向で掘り下げた本である。
これからの時代は超一流でなければ生き残れない。
二流はもちろん、一流のままでは、仕事がなくなっても文句は言えない。
二流になく一流にあるのは「教養」で、一流になく超一流にあるのは「洞察力」。
どちらも必要不可欠だが、いずれも読書で身につけられる。
幼いころはイギリスで学び、東大法学部を卒業後、「ナベツネ」こと渡邉恒雄氏に見いだされて読売新聞に入社。
その後、転じた三菱商事で社費留学したハーバード・ビジネススクールでは、全学800人のうち成績上位5%の学生だけに与えられる称号「ベーカー・スカラー」(最優秀生徒賞)をアジア人として初めて受賞。
ボストン コンサルティング グループ(BCG)へと転じ、日本支社トップに就任。
さらに55歳でベンチャー支援の戦略コンサルティング会社「ドリームインキュベータ」を起業し、同社を東証一部上場企業に育てあげたビジネス界きっての読書家が、どう読書と向き合ってきたか、何を得てきたか、どう活かしてきたかを縦横無尽に語り尽くす。
自分を高める教養と洞察力が身につき、本を武器に一生を楽しむ、トップ1%が実践する『できる人の読書術』を説き明かす。
サラリーマン社会と
江戸時代の武士の評価システムの
意外な共通点とは?
私が取締役ファウンダーを務めるドリームインキュベータの社員向けに、時おり内々の講演会を開いている。
先日は社長が「堀さん、やっぱりこの本はいいですよ。ぜひこの本をテーマに次の講演会をやってください」と頼んできた。
社長が言う“この本”とは、私が1994年に著した『ホワイトカラー改造計画』である。
20年以上前の本だが、指摘したことの重要性は色あせていない。
自慢するわけではないが、いまの日本のビジネス環境の問題点を先駆的に指摘していると思う。
この本で、私は次のような趣旨の指摘をしている。
その頃までの日本的経営システムの人事管理には3つの柱があった。
それは「年功序列賃金」「終身雇用」「新卒一括採用」だ。
高度経済成長が終わり、日本企業の拡大・拡張が望めなくなると、この3本柱を崩すしかなくなる。
旧来の3本柱に基づいたサラリーマン社会は、身分を重視する江戸時代の武士の評価システムとよく似ていた。
学歴や入社年次、新卒か中途採用かでサラリー(武士なら石高)が決まり、それは生涯に渡って宿痾のようについて回る。
同じようなプロフィールを持つ人は、本人の能力に関わりなく、同じようなサラリーマン人生を歩む。
たとえば、東京大学から新卒で入ったら、数年後には係長になり、やがて課長になり、トントン拍子に出世して最低でも同期でもっとも早く部長になれる。
私立大学出身で中途採用だとしたら、たとえ仕事ができても親会社では課長以上になれず、せいぜい子会社の総務部長止まりで終わる……といった具合である。
こうした人事をもっとも顕著に、いや露骨にやっているのが「メガバンク」だ。