腐りにくい立地は
鉄道との位置関係で決まる

 一方、腐りにくい立地は鉄道との位置関係で決まる。代表格は山手線の駅だが、その内側の東京メトロの駅もそうだ。理由はオフィスから近いからだ。首都圏のオフィスの半分以上は都心3区(千代田区・中央区・港区)に集中している。そのうち大規模オフィスは東京駅から品川駅までに集中しており、大企業の本社オフィスは過半数がここに所在する。そこに勤める人たちは99%が電車に乗る。日本の都市圏は電車社会であり、車社会ではない。だからこそ、山手線の駅は腐らないのだ。

 また、世帯構成が小さくなっていることも人気の理由として挙げられる。1家4人というモデルケースは世帯の一部でしかなく、都市圏では単身世帯が最も多くなっている。平均世帯人員は東京では2人を割り込み、今後も下がる傾向は当分の間、変わらない。子どもがいないと、自宅選びは勤務地への近さが重視される傾向がある。だからこそ、都心へのアクセスのよい沿線・駅は腐らずに人気を維持する。

 物件の立地としては、駅から近いことも重要な視点になる。それはシンプルに、容積率の高さが雄弁に表している。容積率が高いと高い建物が建てられるため、それだけ住人の数も多くなる。他方、駅の周りで2階までしか建てられない地域は、賃貸住宅も駅から遠くなりがちだ。駅から1分でエレベータで30階に上がる時間と、駅から10分歩くのは雲泥の差となる。

 不動産価格の中でも家賃は、原則都心へのアクセスで決まる。たとえば、年収に占める家賃の負担率を20%とすると、年収450万円の人は年収の20%にあたる90万円、月割りにすると7.5万円相当の家賃を払っていることになる。年収450万円の人の時給は、年間労働時間を1500時間と考えてそれで割ると3000円になるので、この年収の1時間の価値は3000円といえる。

 一方、自宅の立地の違いによって自宅と駅を行き来するのに片道1分の差が出るとすれば、その差は月で60分=1時間になる。これらを考え併せて金額換算すると、「1分の家賃変動額は3000円」と考えることができる。自宅選びでは、そうしたことも考慮される潜在ニーズがあることを、想定しておいたほうがいい。