日銀当局者の間では、今月利下げを実施するメリットはほとんどなく、一段の景気悪化に備えて政策手段を温存すべきだとの見方が出ている。日銀に詳しい複数の関係者が明らかにした。黒田東彦総裁は先ごろ、世界経済を巡る不透明感を踏まえて追加緩和を実施する可能性があることを示唆した。先月には10月30~31日の金融政策決定会合の前に経済を徹底分析する考えを示した。だがここに来て、世界的な景気悪化への懸念が若干和らいでいる。23日の東京株式市場で日経平均株価は終値ベースの年初来高値を更新。円相場は1ドル=108円前後と、日本の輸出業者にとって比較的心地良い水準に落ち着いている。英国の欧州連合(EU)離脱がようやく大詰めを迎えたとの期待も高まっている。米中は貿易協議を再開した。状況が急激に悪化する可能性もあるが、足元でやや余裕ができたと、日銀当局者は考えているという。
日銀、追加緩和策は温存も 世界のリスク後退と判断=関係者
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