異常があらわれたのは1ヵ月ほど前だった。まず、手のひらと足裏全体が熱を帯び、かさかさに乾いている感じがした写真はイメージです Photo:PIXTA

「難しい病気だから、諦めて」
医師の言葉に血の気が引いた

 肌の厚さは、表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」まで合わせても2ミリ程度しかない。

(たったそれだけの問題なのに、どうして治せないのかしら?太陽系の端っこまでロケットを飛ばすことができる科学があるのに、おかしいじゃない。しかも肌なんて、目に見えているのに)

 秀美さん(仮名・42歳)は、途方もなく理不尽な目にあっている気分で、手のひらを見つめた。赤みがまだら模様を描いて広がり、皮膚はガサガサとしたうろこ状にめくれあがってる。ところどころ黄色っぽい膿(うみ)も見える。手を開いたり閉じたりするのがつらい。歩くのはさらに苦痛だ。足裏は、手のひら同様ボロボロに荒れている。細かく硬く、薄いウロコ状のじゅうたん(そんなものがあるとしたら、だが)を踏みしめているような感触と熱っぽさ。

 異常があらわれたのは1ヵ月ほど前だった。まず、手のひらと足裏全体が熱を帯び、かさかさに乾いている感じがした。見ると小さなブツブツができており、まだらな赤みが気味悪い。そしてかゆい。

 何度かできたことがある水虫と似ていた(といっても、手のひらにはできたことがなかったのだが)ので、試しに水虫の薬をたっぷり塗ってみた。息を吹きかけ、乾かして、重ね塗りしてみたがダメだった。かきむしりたいのを我慢し、手指と足をもみしだくようにして数日様子をみるうちに症状は悪化。ブツブツはつぶれ、皮が剥けてきたため、ついに、近所の皮膚科に駆け込んだ。