視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。
調査や実験をもとに
客観的に「成功」を分析
かなり昔の話になるが、私が小学6年生のときのことだ。学校のクラスで開かれた「お楽しみ会」で何か出し物をしなくてはならず、私は友達のA君と2人で人形劇を演じることにした。
題目は「忠臣蔵」だ。お互いの家にあった人形や置物などを集めてきて、それらを吉良上野介や浅野内匠頭といった登場人物に見立てた。そして当日は、「鮒じゃ鮒じゃ、おまえはふなざむらいじゃぁ~」などと、おもしろおかしくセリフを言いながら、2人で人形(に見立てたもの)を動かした。
これが案外受けた。私と友だちは拍手喝采を浴び、出し物は大成功だった。
しかし、私には不満が残った。なぜなら、会の終わりに担任教師から品評があったのだが、「A君が一番よかったね。初っぱなのカセットテープで出ばやしを鳴らして2人が登場するところから面白かった」と、友達の名前だけを出して褒め称えたからだ。
もちろん準備も当日の上演も、2人で平等に力を合わせて行った。私が出したアイデアもいくつもあったし、それも面白かったはずだ。出ばやしも私のアイデアだ。それなのに、なぜA君ばかりが褒められたのか。