中国経済の減速鮮明化と
日韓関係悪化の影響

 韓国政府は、2019年のGDP成長率予想を2.0~2.1%前後に下方修正した。この背景には、中国経済の減速鮮明化と日韓関係の悪化が無視できない影響を与えている。

 中国経済の現状はかなり厳しさを増している。中国経済は、明らかに成長の限界を迎えている。中国国内ではインフラ開発などを中心に、有効な投資案件が見当たらなくなっている。それに加え、鉄鋼分野などの過剰生産能力の問題も深刻だ。

 IT先端分野でも一部の有力企業の堅調さを別にすると、企業の設備投資の落ち込みなどに影響されて取引価格にも下押し圧力がかかりやすくなっている。共産党政権が景気の安定を目指して刺激策を発動してきたにもかかわらず、今のところ目立った効果が見られないのが現状だ。中国経済の減速のペースは、多くの経済専門家の予想以上になっている。

 それは、中国の需要取り込みを重視してきた韓国にとって致命的だ。また、中国ではファーウェイなどが自前で半導体などの生産能力の引き上げに取り組んでいる。中国の需要の落ち込みによって韓国経済への下押し圧力が加わるだけでなく、韓国企業は自前でテクノロジーの開発力向上に取り組む中国ハイテク企業との競争にも対応しなければならない。韓国企業にとっては、厳しい現実を突きつけられていることになる。

 また、文大統領が日韓関係を悪化させてしまったことも、韓国経済にマイナスの影響を与えた。安全保障などに関する日韓の関係悪化を受けて、韓国企業はこれまでのように半導体材料などをわが国から調達することが難しくなった。日韓関係が悪化する中で、中国企業の台頭に対応することはそれほど容易なことではないはずだ。

 また、日韓関係の悪化などから、韓国航空業界は日本路線の搭乗率の急落に直面している。すでに“フラッグキャリア”である大韓航空をはじめ、社員に対して“無給”休職の取得を求める航空会社もある。中国経済や日韓関係の動向によっては、さらに韓国経済の成長見通しが下方修正される可能性もあるとみられる。

文大統領の対日姿勢に
見え始めた変化の兆し

 先行き懸念が高まる環境下、文大統領が一貫してきた“反日姿勢”と“北朝鮮との融和・統一”のスタンスを取り続けることは難しくなることも考えられる。

 文大統領の北朝鮮政策は進展していない。むしろ北朝鮮は韓国を批判している。金委員長は金剛山観光地区にある韓国の施設撤去さえ指示した。本来であれば7月のように文氏は対日批判を強め、支持率をつなぎ留めたいだろう。