全日本テコンドー協会の金原昇会長は10月28日(月)、臨時理事会を召集し「全理事の辞職」と「外部有識者たちに組織運営の検証と新しい理事の選任を依頼する」ことを決めた。
強化選手の大半がナショナル・チームの合宿をボイコットしたことに端を発し、協会運営をめぐる騒動が始まって以来、一貫して会長の職にとどまる意志を変えなかった金原会長がなぜ急に態度を変えたのか? 臨時理事会に続き、新しく選任された検証委員のヒアリングを終えた当日夜10時すぎ、金原会長に電話で話を聞く機会に恵まれた。今回の決断に至った経緯や心の内を率直に尋ねた。(作家・スポーツライター 小林信也)
「総辞職ではない。理事全員がそれぞれ辞任した」
小林信也(以下、小林) つい20日前(10月8日)の理事会で岡本依子副会長から提案があったときは、「定款にないので審議事項にできない」と却下された「総辞職」を、今度は会長自身が提案されました。これにはビックリしました。
金原昇会長(以下、金原) 違うんです。今回は「総辞職」ではありません。理事一人ひとり全員がそれぞれ辞任する。それを私が審議事項に上げました。
小林 総辞職ではなく、定款に従って、一人ひとりが辞職した。規定に則った議決というわけですね?
金原 そうです。
小林 いずれにしても、この問題が騒がれてからずっと金原会長は「責任を全うする」と、会長の職にとどまる考えを示して来られました。それがなぜ急に辞職を決めたのですか?
金原 責任を全うするというのは、決して会長にとどまるという意味だけではありません。テコンドーの未来を考えて、テコンドー協会をよくするために何をすべきか。結果的にテコンドー協会のイメージが落ちないように、それを考えました。
役員選考員会メンバーの
境田氏の委員長就任への懐疑的な声には…
小林 メディアも世間も、今回の辞任を懐疑的に見ています。委員長になった境田さんは実績もあり、スポーツ界の改革に関しては第一人者です。でも、以前から金原さんと交流がある、これまでのテコンドー協会の役員選任委員のおひとりです。そのような関係から、検証の末にまた会長に戻られるのではないか? 失礼ですが、そう考えている人も多いのではないでしょうか。